ウクライナのダム決壊 トルコ大統領が調査委設置を提案

ウクライナ南部でダムが決壊し、大規模な洪水が発生したことをめぐって、ロシアとウクライナ双方が非難し合う中、トルコのエルドアン大統領が両国の首脳と個別に電話会談して原因究明に向けた調査委員会の設置を提案し、仲介に乗り出しています。

ウクライナ南部ヘルソン州にあるカホウカ水力発電所のダムが決壊して大規模な洪水が発生し、ウクライナの非常事態庁は、日本時間の7日夜の時点で、把握できるドニプロ川の西岸地域だけで、合わせておよそ2600棟が浸水したと発表しました。

また、ウクライナの検察当局は、被災地に4万人以上が暮らしているとした上で「ダムの破壊は戦争犯罪だ」としてロシアの責任を追及する姿勢を示しました。

ダムの決壊をめぐってウクライナ側は、ロシア軍によって内部から爆破されたとしているのに対して、ロシア側はウクライナ軍の妨害行為によるものだと主張し非難の応酬が続いています。

こうした中、トルコのエルドアン大統領が7日、ロシアのプーチン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領と、それぞれ個別に電話会談を行いました。
トルコ大統領府によりますと、エルドアン大統領はゼレンスキー大統領に対して「詳しい調査を行うために、ロシアとウクライナの専門家、それに国連とトルコなどが加わった委員会を設置できる」として、原因究明に向けた調査委員会の設置を提案したということです。
一方、プーチン大統領に対しても「包括的な捜査が行われることが重要だ」として調査委員会の設置に向けてみずからが調整役を担う考えを伝えたということです。

ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は「ウクライナは西側の意向をくんで緊張を高める危険な賭けをしている」と主張したということです。

ゼレンスキー大統領は「ロシアのテロ行為による人道面や環境への影響などについて伝えた」とSNSで明らかにしていて、エルドアン大統領としては、みずから仲介に乗り出すことで事態の打開につなげたい考えとみられます。