軽井沢スキーバス転落事故 きょう判決 争点は事故予見できたか

7年前、長野県軽井沢町で大学生など15人が死亡したスキーツアーのバス事故で、業務上過失致死傷の罪に問われているバス会社の社長と運行管理を担当していた元社員に8日、長野地方裁判所で判決が言い渡されます。社長らは「事故を予見することはできなかった」などと無罪を主張していて、裁判所の判断が注目されます。

7年前の平成28年1月15日、長野県軽井沢町で、下り坂で加速したスキーツアーのバスがカーブを曲がりきれずに道路脇に転落し、運転手を含む大学生など15人が死亡し、26人がけがをしました。

この事故でバスを運行していた、東京の会社「イーエスピー」の社長 高橋美作被告(61)と、運行管理担当の元社員、荒井強被告(54)は、大型バスに不慣れな運転手が死傷事故を起こす可能性があると予見できたのに、必要な訓練などを行わないまま運行にあたらせたとして、業務上過失致死傷の罪に問われています。

裁判で、検察は「運転手が大型バスの運転に不慣れで技量が不十分であることを知りながら運行に従事させた。事故を起こすことは予見できた」などとして、禁錮5年をそれぞれ求刑しています。

これに対し、社長らは「運転手は大型2種の免許を持ち、必要な運転技量はあった。事故を予見することはできなかった」などと、無罪を主張しています。

判決は、8日午後2時から長野地方裁判所で言い渡される予定で、社長らの刑事責任について、裁判所がどう判断するのか注目されます。

裁判の争点は

今回の裁判の最大の争点は、社長と運行管理者だった元社員の2人が、事故が起きるおそれを予見できたかどうかです。

7年前のバス事故は、下り坂で加速し、カーブを曲がりきれなかったことで起きました。

検察は、事故は、運転手がギアチェンジやブレーキ操作を適切に行わず、バスが加速したことで起きたとしたうえで、「2人は運転手が大型バスの運転に不慣れであることを認識していた。峠道などの難所があるスキーツアーの運行に従事すれば、死傷事故を起こすことは予見でき、運転技量を確認してからツアーに従事させる刑法上の注意義務を負っていた」などと述べています。

これに対し被告側は、事故は、運転手がブレーキを踏まなかったことで起きたとしたうえで「運転手は、大型バスの運転に必要な運転技量は有していた。運転手がブレーキを踏まないことを予見するのは不可能だった」などとして、無罪を主張しています。

▽事故が運転手の技量不足によるものかどうか
▽社長ら2人が事故を予見できたかどうか
▽運転技量を確認してからバスの運行に従事させる注意義務があったかどうか
などの争点について、裁判所がどのような判断を示すかが焦点となります。