福島第一原発の処理水めぐり 漁協が西村経産相と面会し意見

東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水の海への放出開始が夏ごろに迫るなか、原発が立地する地域の漁協の組合長などが、7日、西村経済産業大臣と面会し、「新たな風評が不安だ」といった組合員の意見を直接伝えました。処理水の放出をめぐり、個別の漁協が直接、閣僚に意見を伝えるのは初めてです。

相馬双葉漁業協同組合の今野智光組合長などは、7日午後、経済産業省を訪れ、西村大臣と面会しました。

漁協は、トリチウムなどの放射性物質を含む処理水を、基準を下回る濃度に薄めて海に放出する国の方針に反対の立場を示していて、国は、風評対策や漁業支援の基金を設け、地元で繰り返し説明会を開くなどして理解を求めています。

これに対し漁協は、国の施策には、地元の漁業者の意見が反映されておらず、組合員に根強い不安があるとして、今回、大臣に直接、意見を伝える場を持ったということです。

面会の中で、今野組合長は「なぜ福島から放出しなければならないのか」とか「漁業の復興を進めてきたのに、放出による新たな風評被害が不安だ」といった組合員の声を伝えていました。

面会を終えた今野組合長は「原発事故後、漁業の復興に取り組んできた努力をむだにしたくないという思いで、大臣に直接意見を伝えた。処理水の放出には反対だが、放出するのであれば、風評対策は国の責任でやってもらいたい」と話していました。