13年前の高校生殺害事件 初公判で元少年は殺意を否認 神戸地裁

13年前、神戸市の路上で高校2年の男子生徒を刃物で刺して殺害したとして殺人の罪に問われている当時17歳の元少年の初公判が神戸地方裁判所で開かれ、元少年は「殺すつもりはありませんでした」と述べて殺意を否認しました。

2010年10月、神戸市北区の路上で近くに住む、高校2年生の堤将太さん(当時16)をナイフで刺して殺害したとして、当時17歳の元少年(30)が殺人の罪に問われています。

7日、神戸地方裁判所で開かれた初公判で、被告の元少年は「刺したことに間違いありませんが、殺すつもりはありませんでした」と述べて殺意を否認しました。

続く冒頭陳述で検察は「被告はかつての交際相手が好む見た目の男性に憎しみを持つようになり、見た目が似ている被害者に遭遇して犯行に及んだ。逃げる被害者を追いかけ複数回、ナイフで刺していて殺意はあった」などと指摘しました。

一方、弁護側は行為については争わないとしたうえで「被告は、当時、人間関係のストレスなどで通常の精神状態ではなく、幻聴が聞こえるなど心神耗弱の状態で完全責任能力は無かった」などと主張しました。

また、被告の元少年の父親が弁護側の証人として出廷し、遺族に謝罪したうえで「本人には、償いを続け、強く罪の意識を持つことを喚起していきたい」などと述べました。

今月12日に堤さんの父親による意見陳述が行われ、23日に判決が言い渡される予定です。

父親 “ひとごとのよう 真実包み隠さず話して”

初公判のあと堤将太さんの父親、堤敏さんが記者会見を行い、被告の元少年の印象について、「初めて対面しましたが、一切、目を合わせようとせず、ひとごとのようでした」と述べました。

そのうえで、「きょうの裁判の内容を踏まえると、私たち遺族側が求めている答えが出てくることは期待できません。真実を包み隠さずすべてを話してほしい」と訴えました。