米政府高官 核戦力「拡大抑止」信頼性向上に努める考え強調

アメリカ政府の高官は、中国や北朝鮮が核兵器開発を加速させていることで、アメリカの核戦力を含む抑止力で同盟国を守る「拡大抑止」の効力に疑問を抱く国が出ているとして、韓国などを念頭に「拡大抑止」の信頼性向上に努めていく考えを強調しました。

これは、アメリカ、ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議のキャンベル・インド太平洋調整官が6日、首都ワシントンで開かれたシンクタンクのイベントで述べたものです。

この中でキャンベル氏は「アジア地域には核兵器を保有する能力がありながら、保有する道を選ばなかった国がおそらく10か国あるが、それはアメリカ軍の海外への派兵だけでなく『拡大抑止』が永続的で予見可能だったからだ」と指摘しました。

その一方で、中国や北朝鮮が核兵器開発を加速させていることで、インド太平洋地域でアメリカの「拡大抑止」の効力に疑問を抱く国が出ているとの認識を示し、「アメリカの政権は将来にわたって『拡大抑止』の維持に真剣であることを明確に示すため、手を尽くしていく義務がある」と強調しました。

アメリカ政府は、同盟国の韓国で独自の核武装の必要性を訴える声が強まっていることを警戒していて、ことし4月の米韓首脳会談では「拡大抑止」の強化を柱にした「ワシントン宣言」を発表しています。

キャンベル氏の発言には、韓国などを念頭に「拡大抑止」への不安を解消するとともに、中国をけん制する狙いもあるとみられます。