ウクライナのダム決壊で国連安保理緊急会合「最も重大な事件」

ウクライナ南部で水力発電所のダムが決壊し洪水が発生したことについて、国連の安全保障理事会では6日、日本時間の7日午前5時すぎから、対応を協議する緊急会合が開かれました。

冒頭、国連で人道問題を担当するグリフィス事務次長は「国連は、ダムの破壊につながった状況について独立した情報を入手できていない」とした上で「去年2月にウクライナ侵攻が始まって以来、民間インフラの被害としては最も重大な事件になるだろう」と述べ、危機感を示しました。

このあと各国からは、民間インフラへの攻撃は直ちにやめるべきだという意見が相次ぎました。

このうち、アメリカのウッド国連大使は、ダムの決壊の原因について調査中だとした上で「ロシアがウクライナに対して残忍な戦争を始めなければ、今回の人道的な危機は存在しなかった。ロシアの全面的な侵攻は、罪のない人々の命を危険にさらし、ウクライナの人たちの生活を破壊し続けている」と述べ、ロシア軍の即時撤退を求めました。

また、ウクライナのキスリツァ国連大使は「ロシアが爆弾を爆発させ、ヨーロッパで最大規模の人為的災害をもたらした。ウクライナの重要インフラに対するテロ行為だ」と述べ、ロシアを強く非難しました。

一方、ロシアのネベンジャ国連大使は「ウクライナの政権は考えられない罪を犯した。ウクライナと西側諸国は偽の情報を流している」と述べ、ダムを破壊したのはウクライナ側だとして、国連が客観的な調査を行うべきだと主張しました。

ホワイトハウス「何が起きたか確定的に言うことはできない」

ウクライナ南部にある水力発電所のダムの決壊の原因などについて、ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は6日の記者会見で「現時点で何が起きたのかを確定的に言うことはできない。より多くの情報を集めるためにウクライナ側と協力している」と述べるにとどめました。