袴田さん再審へ 弁護団 “ねつ造された衣類は証拠から排除を”

57年前、静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審=やり直しの裁判に向けて、弁護団が提出する冒頭陳述の案の内容が関係者への取材でわかりました。有罪の決め手とされた衣類について、「ねつ造であり、証拠から排除しなければならない」として無罪を主張する方針です。

1966年に今の静岡市清水区で、みそ製造会社の一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)について、東京高等裁判所はことし3月、再審を認める決定を出しました。

今後、静岡地方裁判所でやり直しの裁判が開かれますが、弁護側が主張する予定の具体的な内容が、関係者への取材でわかりました。

6日の弁護団会議で大筋で合意された冒頭陳述の案によりますと、事件の発生から1年2か月後にみそ製造会社のタンクから見つかり、有罪の決め手とされた「5点の衣類」について、「専門家の鑑定結果から、タンクから発見される直前に入れられたことが明らかになっていて、動機からして捜査機関以外に考えられない」としています。

その上で「事件とはまったく無関係のねつ造証拠であり、袴田さんのものでもないので、証拠から排除されなければならない」として、無罪を主張する方針です。

裁判所は検察と弁護団の双方に来月10日までに冒頭陳述の案を提出するよう求めていて、検察が有罪の立証をするかどうかが焦点となっています。