福島第一原発 処理水の放出トンネルに海水注入開始

福島第一原子力発電所にたまる処理水を薄めて海に放出する計画をめぐり、東京電力は5日から、処理水を沖合の放出口に送る海底トンネルを海水で満たす作業を開始しました。トンネルの工事はほぼ終わったことになり、東京電力は残る設備の工事も今月末までに完了させる計画です。

福島第一原発にたまり続けるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について、政府は基準を下回る濃度に薄めてことし夏ごろまでに海への放出を始める方針で、東京電力が設備の工事を進めてきました。

このうち、長さ1キロの海底トンネルは、ことし4月に掘削を終えていましたが、機材の撤去も終わったことから、東京電力は5日午後3時半ごろ、海水を入れる作業を始めました。

海底トンネルは、内部を海水で満たすことで、陸側から流し込んだ薄めた処理水を沖合の放出口に送る仕組みです。

東京電力によりますと、6日昼ごろにもおよそ6000トンの海水で満たされ、今後、トンネル内に残されている掘削用の重機を回収すれば工事が終わるということです。

放出に関係する設備は、放出前に処理水をためておく水槽の一部の工事が残るのみで、東京電力は今月末までにすべての工事を完了させる計画です。

一方、処理水の放出をめぐっては、風評被害を懸念する漁業者などが一貫して反対していて、国が示す放出の時期が迫るなか、どのように理解を得るかが焦点となっています。