国際

“ロシア側が水力発電所のダムを破壊” ウクライナ軍発表

ウクライナ軍は、南部ヘルソン州の水力発電所のダムが、ロシア側によって破壊されたと発表し、ゼレンスキー大統領は強く非難しました。

一方、領土奪還に向けたウクライナ軍の動きが活発になっているとも指摘され、ウクライナ側の大規模な反転攻勢が引き続き焦点となっています。
ウクライナ軍は6日、南部ヘルソン州のドニプロ川にある、カホウカ水力発電所のダムがロシア側によって破壊されたと発表しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領はSNSで緊急の国家安全保障会議を開催したと明らかにし、「午前2時50分、ロシアのテロリストが水力発電所の内部を爆破した。およそ80の集落が浸水区域にある」としたうえで、住民の避難を実施し、ダムの水が供給されていた地域に対し、飲料水を配るよう指示したということです。

また、「このテロ攻撃に対し、ロシアの責任を問うための措置が合意された。厳しい責任を負うことになる」と強く非難しました。

クレバ外相もSNSで「ここ数十年でヨーロッパ最大級の技術的な災害を引き起こし、数千人の民間人を危険にさらした。凶悪な戦争犯罪だ」と批判しました。

ヘルソン州の地元の知事は、大量の水が下流に流れ、およそ1万6000人の住民が危険にさらされているため、住民の避難を進めているとしています。

このダムは、2014年にロシアが一方的に併合したクリミアに水を供給しているほか、ロシアが占拠しているザポリージャ原子力発電所にも冷却水を供給しているということです。

IAEA=国際原子力機関は現時点では原発の安全への影響はないとしています。

これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は6日、「ウクライナ側による意図的な妨害行為であり、ウクライナ政府の命令で計画され、実行されたものだ。この妨害行為の目標の1つはクリミアから水を奪うことだ」と主張し、ウクライナ側による攻撃だとして批判しました。

そのうえで、事態はプーチン大統領にも報告しているとしています。

カホウカダムとは

ロイター通信によりますと、カホウカダムはウクライナ南部のヘルソン州を流れるドニプロ川に1956年、建設されました。

高さはおよそ30メートルで主に水力発電用として使われてきました。

また、2014年にロシアが一方的に併合したクリミアに水を供給しているほか、ロシアが占拠しているザポリージャ原子力発電所にも冷却水を供給しているということです。

このダムをめぐっては、去年11月にも爆発が起き、当時、ロシア側はウクライナ軍による攻撃だと主張していました。

水力発電公社 “4日間は給水できるが原発は危険な状態に”

カホウカ水力発電所について、ウクライナの水力発電公社「ウクルヒドロエネルゴ」は「発電所の施設は完全に破壊された」と発表しました。

また、ダムの貯水池からは大量の水が流出し、水位が急激に下がっているということです。

今後、4日間は給水ができるとしていますが、冷却用の水の供給をこの貯水池から受けているザポリージャ原発をさらに危険な状態にしているとしています。

IAEA事務局長「原発の安全性を直ちにおびやかすリスクはない」

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は6日、本部があるオーストリア、ウィーンで開かれている理事会で、カホウカ水力発電所のダムが大きく損傷し、ザポリージャ原子力発電所へ冷却水を供給していた貯水池の水位が低下していると明らかにしました。

ただ、「IAEAの現時点の評価として、原発の安全性を直ちにおびやかすリスクはない」と述べ、現時点で原発の安全には影響はないとの見方を示しました。

その上で、原発の安全に必要な冷却水を供給する貯水池に影響が出たとしても代替手段はあるとして、ザポリージャ原発の隣にも冷却水を貯める池があると説明しました。

原発はこれまで停止状態にあることから、数か月の冷却に十分な水の量があると推定されるとしています。

グロッシ事務局長は「この池を無傷で維持することが極めて重要だ。壊してはならない」として、冷却水を貯めた池を破壊しないように訴えるとともに
来週ザポリージャ原発を訪れる計画を立てていることも明らかにしました。

イギリス外相 “民間インフラへの意図的な攻撃は戦争犯罪だ”

5日からウクライナの首都キーウを訪問していたイギリスのクレバリー外相は6日、ツイッターにウクライナ南部ヘルソン州にある水力発電所のダムが破壊されたことについて投稿しました。

このなかで、クレバリー外相は「忌まわしい行為だ」とした上で「民間インフラへの意図的な攻撃は戦争犯罪だ。イギリスは、ウクライナとこの大惨事の影響を受けている人々を支援する用意がある」としています。

“ウクライナ軍 大規模な反転攻勢開始の可能性” 米有力紙

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、東部ドネツク州を中心にウクライナ軍の部隊が前進していると強調しました。

アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは5日、アメリカの当局者の話として、ウクライナ軍の大規模な反転攻勢が始まった可能性があると伝えました。

その根拠として、砲撃やミサイルの発射を追跡できる機能を持つアメリカ軍の人工衛星が、ウクライナ軍の動きが活発になっていると検知したことを挙げていて、ウクライナ側の大規模な反転攻勢が引き続き焦点となっています。

専門家 “この戦争が新たなフェーズに入った”

ロシアの安全保障に詳しい防衛省防衛研究所の長谷川雄之研究員は、ダムの破壊について、「ロシア側とウクライナ側のどちらが破壊したのか、はっきりしないが、軍事的な側面では、多くの集落を水没させることでこの地域全体に攻め込みにくくするねらいがある。また、ダムの破壊によって、クリミア半島に水を送ることが難しくなるので、クリミア半島での水の確保に大きな影響を与えるだろう」と分析しました。

そのうえで「ダムの破壊が戦況に与える影響は大きい。水没した地域に軍隊が入っていくのは難しいので、今後、この地域でどのような戦い方が展開されるのか注目だ。また、この地域に注目を集めさせて、実はほかのところを軍事的に狙っているという陽動作戦の可能性についても考える必要がある」と指摘しました。

一方、焦点となっているウクライナ側の大規模な反転攻勢については「この戦争が新たなフェーズに入っていることは確かだ。ウクライナ側は情勢を有利にする条件をつくりだそうとしていて、心理戦や情報戦、ドローン攻撃など含め、総合的に作戦を展開している段階ではないかと思う」と述べました。

このほか、今後の戦況の見通しについては「ウクライナ側としては、占領された土地を取り戻すため、ロシアが設置した地雷やざんごうなど、さまざまな障害をいかに除去していくかが重要だ。まずは戦車が通れるようにするための道をつくっていくような段階で、派手な戦闘というよりも地道な戦いが行われていくと思う」と指摘しました。

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