「核のごみ」文献調査 反対・賛成双方が対馬市議会に請願書

原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の処分地選定をめぐって、第1段階の調査にあたる「文献調査」の受け入れについて議論が起きている長崎県対馬市で、5日、反対派と賛成派の双方が市議会に対し、それぞれの主張に沿った対応を求める請願書を提出しました。

「核のごみ」は、地下300メートルより深くに最終処分場を設けて埋めることが法律で決まっていて、処分地の選定に向けて3段階で調査を行うことになっていますが、このうち、第1段階にあたる「文献調査」の受け入れをめぐって対馬市で議論が起きています。

こうした中、反対派と賛成派の双方の代表者が5日、相次いで市議会の初村久藏議長と面会し、それぞれの主張を盛り込んだ請願書を手渡しました。

このうち、反対派の市民団体の請願書では、▽文献調査の受け入れがイメージダウンにつながり、1次産業や観光産業に大きな打撃を与えるとか、▽長崎県は被ばく県であり、県民感情に配慮すべきなどとして、文献調査の受け入れに反対の決議をするよう求めています。

一方で、賛成派の建設業の団体の請願書では、▽文献調査を受け入れることで安定的雇用の確保や地域経済の活性化が期待できること、▽国のエネルギー政策に貢献できるなどとして文献調査の受け入れに関する取り組みを具体化するよう求めています。

請願書を受け取った初村議長は「真摯(しんし)に受け止め、慎重に審議しなければいけないと思った。皆さんの声を大事に受け止めていきたい」と話しました。

これらの請願書を採択するかどうかは、今月下旬から始まる市議会で審議される予定です。

核のごみの処分地選定に向けた調査は、3年前に北海道の2つの自治体を対象に始まって以降、調査地点が増えていません。