ロシア国防省「大規模攻撃を撃退した」ウクライナ軍の動向焦点

ロシア国防省は、ウクライナ軍が東部ドネツク州で大規模な攻撃を仕掛けたもののこれを撃退したと主張しました。

ウクライナ側はロシアが情報戦を強化していると主張する一方、今後の反転攻勢について具体的な時期などは明言せず、ウクライナ軍の動向が焦点となっています。

ロシア国防省は5日未明、「敵は4日の朝、南ドネツク方面の5か所の戦線で大規模な攻撃を開始した」と発表し、東部ドネツク州のロシア側の支配地域で、ウクライナ軍が反転攻勢を仕掛けたものの、これを撃退したと主張しました。

これに対してウクライナ国防省は、「ロシア軍は信頼性の低い情報を拡散し、情報戦を強化している」としています。ウクライナ側は近く始めるとしている大規模な反転攻勢について具体的な時期などは明言せず、ウクライナ軍の動向が焦点となっています。

こうした中、ウクライナ陸軍のシルスキー司令官はドネツク州の拠点バフムトについて3日、SNSに「敵はバフムト方面で重大な損失を被り続けている」と投稿したほか、5日には「われわれはバフムト近郊で前進を続けている」と書き込みました。

バフムトを巡っては先月、ロシア側が激しい戦闘の末に掌握を主張しましたが、ウクライナ軍が反撃を続けている可能性があります。

また、ウクライナと国境を接するロシア西部のベルゴロド州では今月に入り戦闘が続いていて、地元の州知事は5日、電力施設で火災が起き、無人機による攻撃を受けたとみられるとSNSで発表しました。

ウクライナとの国境に近い各地のロシア側の燃料施設などに対しても、無人機による攻撃が相次いでいるとされ、ウクライナ軍が反転攻勢に向けた準備段階の作戦を進めているという見方も出る中、ロシア側は警戒を強めています。

反転攻勢 明言避けるウクライナ軍

ウクライナ軍による大規模な反転攻勢について、これまでのところ、具体的な時期や規模などは明らかになっていません。

ウクライナ国防省のマリャル次官は4日、SNSに「計画は沈黙を愛する。開始の宣言はない」と投稿しました。

また、レズニコフ国防相も4日、NHKのインタビューで、反転攻勢に向けた準備段階の作戦を進めているのかを問われたのに対し「国防相である私が話すのは適切ではないと思う。将校たちが議論すべきものだ」と述べ、明言を避けました。

そのうえで「真の反転攻勢は去年2月24日、ロシアが軍事侵攻を開始したときから始まっている」と述べ、反撃はすでに行っていると強調し、新しい作戦については言及しませんでした。

反転攻勢について、ゼレンスキー大統領をはじめウクライナの政府高官などは「準備はできている」とか「あす、あさって、あるいは1週間以内に始まる可能性がある」と述べて、いつでも始められると強調するものの、現時点で具体的なことを明らかにしていません。

作戦に関わる情報の管理を徹底するとともに、ロシア側に対する心理戦や情報戦の一環ともみられます。