陸上日本選手権 女子5000m 田中希実が2年連続3回目の優勝

陸上の日本選手権女子5000メートル決勝は、東京オリンピック代表の田中希実選手が15分10秒63で2年連続3回目の優勝を果たしました。田中選手はこの大会、女子1500メートルに続く2種目めの優勝です。

女子5000メートル決勝は、いずれもおととしの東京オリンピック代表で、今シーズン初めて5000メートルに出場する23歳の田中選手と、2年ぶりの優勝を目指す日本記録保持者で22歳の廣中璃梨佳選手の、同世代対決が注目されました。

2人は、前半、先頭集団でレースを進めましたが、3000メートル手前で田中選手が先頭に立ちペースを上げると、廣中選手はついていくことができず、徐々に後退していきました。

田中選手はその後、さらにペースを上げ後続を引き離し、最後の400メートルは60秒ほどで走るラストスパートを見せ、15分10秒63でフィニッシュし2年連続3回目の優勝を果たしました。

田中選手はこの大会、女子1500メートルに続く2種目めの優勝です。

一方、廣中選手は、15分55秒98で21位と力を発揮できませんでした。

田中「2冠達成できてうれしい」

女子5000メートルを連覇し、この大会女子1500メートルに続く2種目での優勝を果たした田中希実選手は、「2冠できるか不安だったので、達成できてうれしい。ラストスパートだけではなく、ロングスパートでしっかり強さを見せて今の自分の力を確かめたいと思い、早めにしかけた。ラスト1周のスピードも自信になった」と振り返りました。

その上で、今後に向けては「このあと海外での合宿を行い、地力をつけて世界選手権に備えたい。練習でやってきたことをそのままぶつけた上で、世界でトップ争いをしたい」と意気込みを話しました。

レース前に400メートルを全力で…そのワケは

ことしの日本選手権で女子1500メートルと5000メートルの2種目を圧倒的な強さで制した田中希実選手。

その強さを支える貪欲さをウォーミングアップを行うサブトラックでかいま見ることができました。

女子5000メートル決勝に向けてサブトラックで体を動かしていた田中選手。

午後4時45分にサブトラックにあるビジョンに、女子800メートル決勝に臨む選手たちの姿が映し出されると、サブトラックのスタートラインに立ち、800メートルの選手たちと同時にスタートを切りました。

みずからが出場する5000メートルのレースが1時間20分後と近づくなかでビジョンに映し出された選手たちと同じペースで400メートルを全力で走りました。

連覇がかかる重要なレースを前にしながらなぜこのようなことをしたのか、田中選手を取材すると「きょうの自分が800メートルに出場しても戦えたのか確認したかった。800メートルの選手たちと1周目は遜色なく走れたのでよかった」とはにかみながら答えてくれました。

800メートルでも、国内トップクラスの実力を持つ田中選手。

去年の日本選手権は1500メートルと5000メートルに出場しながら2位に入って世界選手権の代表に選ばれました。

今シーズンは「世界のトップで戦うため」と今大会の800メートルにエントリーしませんでしたが、本番さながらに地力を確かめたいというその貪欲さに驚かされました。

自分の可能性を信じてこうした姿勢でどんどん力をつけていく田中選手、私たちが想像するスケールを超えてことし8月の世界選手権や来年のパリオリンピックで世界とどのような勝負をするのか活躍に期待が高まるばかりです。

田中希実 1500メートルも圧勝で4連覇

田中選手は2日に行われた女子1500メートル決勝でも、優勝し、大会4連覇を果たしました。
田中選手は、おととしの東京オリンピックのこの種目で日本選手として初めて8位入賞を果たし、日本記録保持者です。序盤は2番手でレースを進め、500メートルを通過したところで先頭に立ちました。そして、700メートル付近で電光掲示板を見て後ろの選手の動きを確認すると、一気にスピードを上げてほかの選手を大きく引き離しました。

その後もスピードを落とすことなく圧倒的な走りを見せた田中選手は2位に10秒近くの差をつける4分8秒29のタイムで優勝し、この大会4連覇を果たしました。
2位には、田中選手の高校の同級生の後藤夢選手が4分17秒66で入り、2年連続の2位となりました。