子宮頸がんの対策を 最新の報告書公表 国立がん研究センター

子宮頸がんによる死亡率が日本はほかの先進国より高いことや、予防のためのHPVワクチンの有効性や安全性など、最新の情報をまとめた「ファクトシート」を国立がん研究センターが公表しました。対策などに生かしてほしいとしています。

子宮頸がんは、主にHPVというウイルスの感染で起きるがんで、国立がん研究センターは子宮頸がんの現状について知って対策に生かしてもらおうと最新の科学的な情報をまとめた「ファクトシート」を作りました。

この中では、国内では年間1万人以上が子宮頸がんと診断され、3000人近くが亡くなっていて、人口10万人あたり2人ほどが死亡しているなど、年齢を調整した死亡率は近年、欧米や韓国よりも高くなっているとしています。

また、HPVワクチンについて、接種後に体の痛みなどを訴える人が相次ぎ、積極的な呼びかけが中止されていたのが、有効性や安全性のデータが報告されたなどとして、去年接種の呼びかけが再開されたことを詳しい経緯を含めて示しています。

そのうえで、女性が12歳から13歳で接種すると、その後子宮頸がんになるリスクが87%減ったとするイギリスの研究や、接種後に訴える人が多い症状として頭痛やさまざまな部位の痛み、全身のだるさなどがあることや、症状に対応するための医療連携体制についても解説しています。
国立がん研究センターの片野田耕太 部長は、「子宮頸がんは対策で撲滅が可能だが、日本では増加し続けている。事実を知ってもらい、対策を進めるための議論に活用してほしい」と話しています。

ファクトシートは、国立がん研究センターのウェブサイトで公開されています。