陸上日本選手権 女子100mハードル 寺田明日香が混戦制し優勝

陸上の日本選手権女子100メートルハードル決勝は、東京オリンピック代表の寺田明日香選手が4人が12秒台をマークするハイレベルなレースを12秒95のタイムで制して2年ぶり5回目の優勝を果たしました。

12秒台のタイム持つ5人が顔をそろえる大混戦

女子100メートルハードル決勝には、おととしの東京オリンピック代表の寺田選手と青木益未選手、それに、日本記録保持者の福部真子選手と、今シーズン自己ベストを更新した田中佑美選手や、清山ちさと選手の12秒台のタイムを持つ5人の実力者が顔をそろえました。

向かい風1.2メートルの中、行われたレースは、序盤は青木選手が先行しましたが、中盤で寺田選手と田中選手が追い上げる展開となり、その後、福部選手も含めて4人がほぼ横一線でフィニッシュしました。

会場で速報値での着順を示した電光掲示板には福部選手が1着と表示されましたが、写真判定の結果、寺田選手が12秒95で1位となり、4人が12秒台をマークするハイレベルなレースを制し、2年ぶり5回目の優勝を果たしました。

同タイムでわずかに及ばなかった青木選手が2位に入り、3位は0秒01差の12秒96で田中選手でした。

福部選手は12秒99で4位となり、すでにことし8月の世界選手権の参加標準記録を突破していましたが、日本陸上競技連盟が定めた選考基準を満たすことができず、この大会での代表内定はなりませんでした。

優勝の寺田「競った中で勝てたことは評価したい」

女子100メートルハードル決勝で、2年ぶり5回目の優勝を果たした寺田明日香選手は「ことしの日本選手権は12秒台が5人もいて難しく、楽しみな反面、どうやっていこうかと思っていた。競った中で勝てたことは評価したいし、こういう時代にいられてよかった」と大接戦となったレースを振り返りました。

また、電光掲示番に一時、福部選手が1着と表示されたことについては「選手もショックを受けるのでしっかり見て結果を出してもらえたらいい」と複雑な表情を見せていました。

同タイム 写真判定で2位の青木「2位に入ることできて安心した」

女子100メートルハードルの元日本記録保持者で、東京オリンピック代表の青木益未選手は、優勝した寺田明日香選手と同タイムでしたが写真判定の結果2位となり「焦らず走ることが一番大事だと思っていた。2位に入ることができてとにかく安心した」と話していました。

4人が12秒台というハイレベルなレースになったことについては「ほかの選手たちもプレッシャーを感じていたことがよくわかるので『みんなお疲れさま』という気持ちだ」と振り返っていました。

日本記録保持者の福部は4位 世界選手権の代表内定を決められず

女子100メートルハードルの日本記録保持者、福部真子選手は会場内の速報で1着と表示されながらもその後、公式結果では4位となり、この大会で世界選手権の代表内定を決めることはできませんでした。

福部選手は「全身の筋肉が緊張するような今までに感じたことがない緊張感で力を出し切れなかった。届かなかったのが自分の実力です」と涙を目に浮かべて話していました。

福部の順位 なぜ1位から4位に変わった?

100分の4秒の中に、4人が入る大混戦となった女子100メートルハードル。

フィニッシュ直後の会場の電光掲示板には福部真子選手が1着と表示されました。

しかし、その後の公式結果では寺田明日香選手が1位で、福部選手は4位という結果になりました。

日本陸上競技連盟によりますと、レースの順位の判定には、速報と確定の2つがあり、レースが終わるとまず、速報の着順を電光掲示番に表示するということです。

今回のレースでは、速報の判定員が写真判定をもとに着順を判定し福部選手が最初にフィニッシュしたと判断したため、電光掲示番に表示されました。

その後、確定結果を担当する判定員が別のカメラによる写真などをもとに精査した結果、速報とは異なる結果に変更されたということです。

福部選手は3位以内に入ればことし8月の世界選手権代表が内定するレースだっただけに、レースのあと涙を見せていました。

優勝した寺田選手は「選手もショックを受けるのでしっかり見て結果を出してもらえたらいい」と話していました。