次世代型路面電車「LRT」8月26日開業へ 宇都宮と芳賀町結ぶ

栃木県の宇都宮市と芳賀町を結ぶLRT=次世代型路面電車が、ことし8月26日に全線で開業することが2日、発表されました。

宇都宮市と、隣接する芳賀町、それにLRTの運営会社は2日、市内で合同で記者会見を開きました。

この中で、市や町が、誰もが暮らしやすいまちづくりを目指して整備を進めてきたLRT=次世代型路面電車が、ことし8月26日に全線で開業することが正式に発表されました。

区間はJR宇都宮駅の東側から町内の工業団地までのおよそ14.6キロになります。

このLRTをめぐっては、沿線の用地取得や工事の遅れで開業の予定が2度にわたって延期され、当初の去年3月からことし8月になり、事業費は当初のおよそ1.5倍の680億円余りになりました。

そうした中、去年11月には宇都宮市内で試運転をしていた車両が脱線する事故も起き、市などが設置した有識者会議が原因究明を進めてきました。

その結果、5月30日に「走行安全上の問題はないと判断できる」などとする最終報告書が市に提出されていました。

市などは今後、運行の開始や運賃に関する認可申請を国に行うことにしています。

国によりますと、LRTは富山市や広島市などで導入されていますが、既存の線路を活用せず全線でレールを新設するのは全国で初めてだということです。

宇都宮市の佐藤栄一市長は「いろいろな方に指摘や指導をいただいて、ここまでの事業に成長したと思います」と話していました。

また芳賀町の大関一雄町長は「交通状況の改善や人の行き来が増えて大きな効果があると確信しています」と話していました。

LRT 導入の経緯と今後

LRTは「Light RailTransit」の略称で、次世代型路面電車と呼ばれています。

▽電気モーターで走るため、二酸化炭素などを排出しないことや
▽振動や騒音が少ないこと
▽乗り降りしやすい低い床の車両などが特徴です。

宇都宮市では、幹線道路の渋滞解消などを目指して導入の検討が始まり、その後、地域の活性化や、誰もが暮らしやすいまちづくりを目指して整備が進められてきました。

運営は、市や町、民間企業が出資する会社が担い、線路や駅は、市や町が保有する「上下分離方式」が取られています。

宇都宮市は、このLRTを、JR宇都宮駅の西側に延伸する計画も現在進めていて、2026年度中に工事を始めて、2030年代前半の開業を目指しています。

街の人たちからはさまざまな声

LRTの開業日が発表されたことについて、停留場が設けられるJR宇都宮駅の東口周辺ではさまざまな声が聞かれました。

宇都宮市の20代の男性は「脱線事故があって開業はもっと遅れると思っていた。通勤で利用しようと考えている。車の渋滞を気にしなくてよくなるのでうれしい」と話していました。

同じく市内の80代の女性は「買い物も娘の車に乗せてもらうので、あまり利用する機会はないかもしれないが話の種に1回は友達と乗ってみたい」と話していました。

芳賀町の30代の男性は「停留所の周辺に駐車場が整備されれば利用してみたい。脱線事故や開業延期もありかなりのお金がかかっているはずなので、しっかり価値あるものにしてほしい」と話していました。