台風は温帯低気圧に 記録的大雨による増水や土砂災害に注意を

沖縄・奄美に接近し、日本の南を進んだ台風2号は3日夕方、温帯低気圧に変わりました。

台風や前線の影響で、東日本や西日本の太平洋側で「線状降水帯」が相次いで発生するなど激しい雨が降り続き、東海や関東、近畿などで記録的な大雨となりました。

各地で水位が高く地盤の緩んだ状態が続いていて、川の増水や土砂災害などに十分注意が必要です。

気象庁によりますと、6月1日から2日にかけて沖縄県や鹿児島県の奄美地方に近づいた台風2号は、午後3時に伊豆諸島近海で温帯低気圧に変わりました。

台風2号からの湿った空気が梅雨前線に流れ込んだ影響で、西日本と東日本の太平洋側で発達した雨雲が次々と流れ込む「線状降水帯」が相次いで発生するなど、2日から3日朝にかけて激しい雨が降り続きました。

24時間の雨量は、
▽静岡県の浜松市熊で497.5ミリ、
▽愛知県豊橋市で419ミリ、
▽和歌山県湯浅町で385ミリ、
▽埼玉県越谷市で260.5ミリなど観測史上最も多くなりました。

また、東京の都心でも午前8時すぎまでの24時間の雨量が218ミリに達し、6月として最も多くなりました。

記録的な大雨で地盤が緩んだり川の水位が高くなったりしている地域もあり気象庁は引き続き川の増水や土砂災害に十分注意するよう呼びかけています。

一方、4日は晴れて気温が上がり、日中の最高気温が
▽熊本市や岡山市、前橋市などで30度と真夏日が予想されているほか、
▽鹿児島市や京都市、名古屋市、静岡県浜松市、仙台市で29度、
▽福岡市と大阪市で28度、
▽東京の都心で27度などと各地で6月下旬から7月上旬の暑さとなる見込みで、大雨による被害の復旧作業などの際には熱中症にも注意が必要です。

24時間雨量 23地点で観測史上最多に

この大雨では、関東甲信から近畿の23の観測点で、24時間に降った雨の量が観測史上最も多くなりました。

▽静岡県の浜松市熊の497.5ミリ、
▽三重県鳥羽市の490.5ミリ、
▽愛知県豊橋市の419ミリ、
▽和歌山県湯浅町の385ミリ、
▽奈良県五條市の283ミリ、
▽長野県の飯田市南信濃の273.5ミリ、
▽埼玉県越谷市の260.5ミリ、
▽茨城県土浦市の261.5ミリなどです。

また、6月として最も多い24時間の雨量となったのは、
▽静岡県御殿場市で435ミリ、
▽高知県土佐清水市で302ミリ、
▽神奈川県相模原市で242.5ミリ、
▽東京の都心で218ミリ、
▽水戸市で177ミリ、
▽大阪・堺市で168ミリ、
▽甲府市で130.5ミリ、
▽福井市で122.5ミリなど、
西日本から東日本の150地点を超えました。

和歌山北部は数十年に1度の「まれな雨」

近畿地方の大雨について、国立研究開発法人の「防災科学技術研究所」は観測された雨量がその地域にとって「どのくらい珍しい雨だったか」を計算し公表しています。

観測された雨量が「平均するとどのくらいの期間に1度起きるのか」を過去の解析雨量のデータから計算していて、珍しさの度合いに応じて6段階で評価しています。

それによりますと、2日午後2時までの3時間の積算雨量は、和歌山県北部を中心に数十年に1度のまれな雨だったことがわかりました。

特に、和歌山県有田川町の周辺は、6段階の中で最も珍しい「100年に1度よりも頻度が低い」という結果となりました。

和歌山県北部では、このほかの地域でも、短時間のうちに雨量が増え、川の増水や氾濫につながった可能性があることがわかります。