ウクライナで「子どもの日」 軍事侵攻以降484人死亡 現地当局

ウクライナで「子どもの日」とされる1日、首都キーウでロシア軍のミサイル攻撃があり、9歳の女の子を含む3人が死亡しました。一方、ロシアのプーチン政権は国境を接する西部でウクライナ側からの越境攻撃が相次いでいるとして、一段と警戒を強めているものとみられます。

ウクライナの首都キーウでは1日にも、ロシア軍によるミサイル攻撃があり、現地の警察などによりますと、迎撃には成功したものの、ミサイルの破片が住宅街に落下して9歳の女の子とその母親を含む、あわせて3人が死亡、少なくとも14人がケガをしました。

6月1日はウクライナで「子どもの日」とされ、現地の検察当局はロシアが軍事侵攻を始めた去年2月以降の子どもの犠牲について「占領地域や激戦地では情報の収集が困難だ」とした上で、判明しているだけで484人が死亡、992人がケガをしたと発表しました。

一方、ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州の知事は1日、国境近くのシェベキノなどで砲撃を受け、あわせて10人がケガをしたとSNSで明らかにしました。

これについてロシア国防省は「ウクライナによる3度にわたる攻撃を撃退した」として、ロシアへの侵入を阻止したと主張しました。

これに対して、プーチン政権に反対するロシア人などの義勇兵を名乗る「自由ロシア軍」と「ロシア義勇軍」の2つの組織が1日、SNSで攻撃の関与を主張する動画を投稿し「第2段階の始まりだ」とか「ロシア全土を解放する」などと表明しています。

2つの組織は先月22日もベルゴロド州で戦闘を行ったと主張していて、プーチン政権は、ウクライナ側からの越境攻撃が相次いでいるとして、一段と警戒を強めているものとみられます。

キーウ「子どもの日」関連行事すべて中止

ウクライナでは6月1日は「子どもの日」で、この日やその前後には子ども向けに各地でさまざまなイベントが開かれます。

5月30日にも首都キーウでは、ウクライナ東部ルハンシク州から避難してきた子どもたちなどが参加して絵を描いたりダンスを楽しんだりするイベントが開かれました。

しかし、キーウでは1日もミサイル攻撃があり、撃墜されたミサイルの破片が住宅街に落下して9歳の女の子を含む3人が死亡しました。

キーウ市当局はロシア軍による相次ぐ攻撃で子どもにも犠牲が出ているとして、1日に予定されていた「子どもの日」の関連行事をすべて中止すると発表しました。

ミサイルの破片が落下した現場近くに住む女性は「子どもが亡くなるなんてとても悲しいです。私も13歳の子どもをもつ母親なので、そのつらさがとてもわかります」と話していました。

また、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、亡くなった女の子の遺体のそばにうなだれて座る祖父の写真をSNSに投稿し「この写真を見るのはとてもつらい。彼は孫のそばを離れられず、現実を受け止められない。攻撃を続けるロシアが、死と破壊しかもたらさないことをまたも思い知らされた」としてロシアを強く非難しました。