立民 参院法務委員長の解任決議案を提出 入管法の採決を阻止

外国人の収容の在り方を見直す入管法の改正案について、与党側が1日の参議院法務委員会での採決を提案したのに対し、改正案に反対する立憲民主党は応じられないとして、採決を阻止するため、法務委員長の解任決議案を提出しました。

出入国管理法などの改正案は、
▽難民申請中は強制送還が停止される規定について、申請を繰り返すことで送還を逃れようとするケースがあるとして、3回目の申請以降は、「相当の理由」を示さなければ適用しないことや
▽退去するまでの間、施設に収容するとしていた原則を改め、入管が認めた「監理人」と呼ばれる支援者らのもとで生活できることなどが盛り込まれています。

改正案は、衆議院を通過したあと、参議院法務委員会で審議されていて、与党側は、午前に続いて午後の理事会でも、審議は十分に時間をかけて行ったとして、1日、委員会で採決を行いたいと提案しました。

これに対して、改正案に反対し、難民認定の透明性を高めるべきだとしている立憲民主党などは応じられないと主張しましたが、法務委員会の公明党の杉委員長が職権で採決を行う考えを示しました。

立憲民主党は、難民認定に関して、一部の審査担当者が極端に多くの審査を行うなど入管が恣意的な運用を行っている実態が明らかになり、審議は尽くされていないとして、1日の採決を阻止するため、杉委員長の解任決議案を提出しました。

与党側は、2日の参議院本会議で解任決議案を否決し、来週にも改正案を可決・成立させたい考えですが、立憲民主党は、さらなる審議を求める構えで、攻防が激しくなっています。

自民 福岡氏「解任決議案が提出されることは遺憾」

参議院法務委員会で与党側の筆頭理事を務める自民党の福岡資麿氏は、記者団に対し「衆議院を上回る審議時間を割き、機が熟しているという判断で採決を提案した。杉委員長による採決の判断に対し、解任決議案が提出されることは遺憾だ」と述べました。

参院法務委 公明 杉委員長「きぜんと臨みたい」

参議院法務委員会の公明党の杉委員長は、記者団に対し「衆議院を超える審議時間や2回にわたる入管施設の視察、それに亡くなったスリランカ人女性に関するビデオの閲覧など、充実した審議を心がけて、可能なかぎり丁寧に取り組んできたつもりだ。解任決議案の採決にはきぜんと臨みたい」と述べました。

立憲 牧山氏「職権で採決を行うのは民主主義の崩壊」

参議院法務委員会で野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の牧山ひろえ氏は、記者団に対し「政府の改正案は、第三者機関が難民認定を行うとした私たちの対案と真逆の内容で、あちこちから疑義が呈されているのに、委員長の職権で採決を行うことは民主主義の崩壊だ。審議をやり直したほうがいい」と述べました。