大阪湾にスナメリはいるか?

イルカの仲間、スナメリを知っていますか?
実は大阪湾にも生息していて、地元の水族館が調査を行っています。
その調査に密着しました。
(大阪放送局 記者 廣瀬奈々美)

スナメリ絶対に見たい!

大阪の水族館「海遊館」は2010年からスナメリの生態を詳しく知るために専門学校生や一般の人と一緒に船に乗って調査しています。

31日に行われた調査には、およそ30人が参加しました。
「初めて見るので楽しみにしています」
「絶対に見たいです!」

スナメリが繁殖や出産するこの時期、船の上から肉眼でも観察しやすいと言います。

「あれ違うか?あそこ」
「ほらほら」
スナメリが見つかったと思いきや…
残念、ゴミでした。

しかし、調査開始からおよそ1時間後。
船内から歓声があがります。

ちょっと見にくいんですが、画面左側の黒い影、複数のスナメリとみられます。
スナメリの姿は上空からNHKのヘリも捉えていました。
3頭が一緒に泳いでいるのが確認できました。

調査に参加した人
「めっちゃうれしいです」
「ほんまに大阪湾におんねやって思いました」

スナメリって

このスナメリ、小型のイルカの仲間です。
体長は2メートルほど。
灰色の体で、額が丸く、背びれがないのが特徴です。

日本では九州から東北にかけて生息していて、水深50mまでの浅い海を好みます。

大阪湾でもかつてスナメリがよく目撃されていましたが、水質汚染や海岸の埋め立てなどで生息しにくくなっていると言われていて、大阪府は「絶滅の危険が増大している種」に指定しています。

海遊館によりますと、人間の活動域に近いところで暮らすスナメリを調査することで、海の豊かさや汚染の程度などを知ることができるということです。

31日の調査で確認されたスナメリはおよそ20頭。
これまでの調査では関西空港より南側の海で多く目撃されていましたが、今回はより北側の海でも見つかりました。

周辺で一部の漁が休みだった影響もあるかもしれませんが、活動域が広がっていることもうかがえます。
調査に参加した学生
「スナメリをたくさん見つけることができてうれしいです。大阪湾のスナメリについてわかっていないことが多いのでこれからも調査に参加したいです」
調査に同行した大阪ECO動物海洋専門学校
近藤茂則副教務部長
「スナメリが少なくなるということは、われわれ人間に対する一つの危険信号でもあるのではないかということで多くの人に認識してもらいたいと思います」
海遊館 飼育展示部海獣環境展示チームサブマネージャー
袖山修史 副参事
「結構大阪湾、汚い海って思われがちなんですけど、すごく豊富な生物がいます。実際にスナメリを見ていただくと、大阪湾にもこういう生き物がいるんだと分かっていいと思います」

海遊館では一般の人からのスナメリの目撃情報も集めています。

たとえ死んだスナメリであっても解剖して、何を食べているかや海からの影響などについて調査しているということです。