
緊急事態への対応めぐり有識者の意見分かれる 参院憲法審査会
参議院憲法審査会で大規模災害など緊急事態への対応をめぐって有識者への質疑が行われ、憲法改正で衆議院議員の任期延長を認めるべきだという意見の一方、憲法に今、規定されている参議院の緊急集会で対応できるという意見が出ました。
参議院の緊急集会は、衆議院解散後の緊急の場合、内閣が求めることができると憲法に規定されていて、31日の参議院憲法審査会では、大規模災害などの緊急事態で選挙が困難な状況が長期化した場合に活用できるかなどをめぐって有識者への質疑が行われました。
このうち、防衛大学校の松浦一夫教授は「現行憲法は重大かつ長期にわたる緊急事態の対応を想定していない。憲法改正で衆議院議員の任期延長などの措置を認め、国会が両院の完全な形で政府を統制するほうが民主的観点から効果的だ」と主張しました。
これに対し、早稲田大学大学院の長谷部恭男教授は「緊急事態への対応は臨時の暫定的な措置にとどめるべきで、衆議院議員の任期延長などをすると政権が居座り続けて恒久化を招くことにもなりかねない。憲法が定める緊急集会に新たな制度を追加する必要は見出しにくい」と指摘しました。