
東京医大入試 “性別で減点” 一部原告に賠償額増額の2審判決
東京医科大学を受験した女性たちが性別を理由に減点され不合格になったとして、大学に賠償を求めた裁判で、2審の東京高等裁判所は「性別による点数調整は不合理な差別的取り扱いにあたる」と認めたうえで、一部の原告について、1審より賠償額を増額する判決を言い渡しました。
平成18年度から30年度にかけて東京医科大学を受験し、不合格となった女性たちは、性別を理由に受験生の点数を一律で減点するなどの不正によって不合格とされたなどとして、大学に賠償を求めました。
1審は、28人の原告のうち1人を除いて訴えを認め、判決を不服として16人が控訴していました。
30日の2審の判決で、東京高等裁判所の増田稔裁判長は、1審に続いて「性別による点数の調整は不合理な差別を禁止した法律や、法の下の平等を定めた憲法の趣旨に反する」という判断を示しました。
そのうえで、「合否に影響を受けたかどうかにかかわらず、受験生がみずからの意思で受験校を選ぶ自由を侵害した。点数調整がなければ合格していた人に対しては、性別による不合理な差別的取り扱いにあたる」と指摘し、一部の原告の慰謝料を増額して、15人に対し合わせて2000万円余りを支払うよう大学に命じました。
1審は、大学が点数調整を公表していなかったことが不当だとしましたが、2審は性別による点数調整そのものを差別と認める、より踏み込んだ判断となりました。
原告弁護団長「より進んだ認定になった」
原告側の弁護団長を務める角田由紀子弁護士は、記者会見で「性別による点数調整そのものが差別にあたると認められた。本来なら1審で認められるべきことだったが、控訴して主張したことで、より進んだ認定になったと思う。ほかの分野でも活用できる判決ではないか」と評価しました。