文科省 学校の浸水対策の手引公表 “10年に1度程度も想定を”

大雨のシーズンを迎える中、文部科学省は学校施設の浸水対策の考え方や取り組みの例をまとめた手引を公表しました。最大規模の水害だけでなく、10年に1度程度の水害も想定して対策を進めることが重要だとしています。

30日に公表された学校施設の浸水対策の手引は、文部科学省がおととしに発表した調査で、洪水や高潮などの浸水想定区域内にある公立学校およそ7500校のうち施設内への浸水対策を講じているのは15%にとどまっていたことなどを受けて作られたものです。

手引では、対策が進まない要因として1000年に1度とされる最大規模の大雨のみに着目して「何の対策も施せない」という結論に陥る可能性を指摘していて、10年に1度程度の浸水も想定して比較的取り組みやすい対策を検討することが重要だとしています。

具体的には、10年に1度程度の大雨で50センチ未満の床上浸水のおそれがある場合は電気設備への浸水を止める板を設置し、さらに長期的に見て、50センチ以上の浸水も想定される場合、電気設備や教室の上の階への移設やかさ上げなどが考えられるとしています。

文部科学省は30日、通知を出すなど教育委員会に手引を知らせることにしていて「地域の実情に応じて優先度の高い対策から検討を進めてもらいたい」としています。

永岡文科相「連携して学校の水害対策推進を」

永岡文部科学大臣は、閣議のあとの記者会見で「学校設置者がハード・ソフト両面から関係部局と連携して、児童や生徒の安全確保や教育活動の早期再開を実現する水害対策を進めることができるように手引を策定した。今後、河川に接した地域では、手引を積極的に活用いただくとともに、自治体の関係部局や河川事務所などとも連携して各学校の水害対策を推進していただきたい」と述べました。