被災者一人ひとりにきめ細かな支援を 国の防災基本計画 修正案

政府の中央防災会議が開かれ、被災者一人ひとりの事情に応じて支援を行う「災害ケースマネジメント」と呼ばれる取り組みを整備することなどを盛り込んだ国の防災基本計画の修正案が決定されました。

30日午前、関係閣僚や防災機関の代表らが出席して開かれた中央防災会議の会合では、国の防災基本計画の修正案が決定されました。

計画では、地域の実情に応じた被災者への支援として、「災害ケースマネジメント」と呼ばれる取り組みの整備が新たに盛り込まれました。

「災害ケースマネジメント」は、東日本大震災など過去の災害で災害関連死が相次いだことなどから一部の自治体が導入していて、避難所だけでなく自宅で避難する人など被災者一人ひとりの事情に応じてきめ細かな支援を行うことで、災害関連死の防止や生活の再建に結び付くとされています。

今後、全国の自治体に整備を促していくということです。

計画では「海上災害対策」も修正され、去年4月の北海道の知床半島沖の観光船の沈没事故を受けた、小型の旅客船の安全対策の強化が盛り込まれました。

この中では、
▽小型旅客船の船員に海域ごとの特性を学ぶための教育訓練を実施することや、
▽確実に連絡がとれる無線設備や遭難した時に位置を発信できる装置を義務化するなどとしています。

岸田首相「洪水の起きやすい時期に向け万全の態勢を」

岸田総理大臣は「この1年は大雨や台風など大きな自然災害が発生した。今週は台風2号の影響で全国の広い範囲で大雨が降る可能性があり、激甚化、頻発化する災害への対応は先送りできない重要な課題だ。今一度災害への備えに思いを新たにし、災害対策の一層の強化と国民一人ひとりの防災意識の向上に取り組まなければならない」と述べました。

そのうえで、関係閣僚に対し、さらなる防災・減災に努め、洪水の起きやすい時期に向けて万全の態勢をとるよう指示しました。