ロシア 欧州通常戦力条約から脱退 欧米へのけん制一段と強める

ロシアのプーチン政権は、NATO=北大西洋条約機構との間で通常兵器の保有上限を定めたCFE=欧州通常戦力条約から29日、脱退しました。ウクライナへの軍事支援を行う欧米へのけん制を一段と強めるねらいとみられます。

CFE=欧州通常戦力条約は、冷戦時の東西両陣営の対立を前提として戦力均衡を図る目的でヨーロッパにおける通常兵器の保有上限を定めたものです。

1990年にNATOと当時のワルシャワ条約機構との間で調印され、ロシアは1999年に批准しましたが、NATOとの対立が続く中、2007年に履行を停止しています。

これについてロシア政府は5月、CFE条約から脱退すると発表し、議会の上下両院で関連法案が可決され29日、プーチン大統領が署名し、脱退しました。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は29日、「条約は、すでに機能不全に陥っていて、直接の影響はない」とする一方で、「軍備管理や戦略的な安定面では大きな空白があり、早急な対応が必要だろう。しかし、ロシアに落ち度はない」と述べ、欧米を念頭に批判しました。

ロシアは、ことし2月にはアメリカとの核軍縮条約「新START」の履行を停止すると一方的に表明しています。

欧米側がウクライナへの軍事支援を強化する中、プーチン政権としてはCFE条約からも正式に脱退することで、欧米へのけん制を一段と強めるねらいとみられます。