北朝鮮「衛星」発射通報 今月31日~来月11日 ルートやねらいは

政府は、北朝鮮から今月31日から来月11日の間に「衛星」と称する弾道ミサイルを発射すると通報があったと明らかにしました。複数の防衛省関係者は北朝鮮が今回、人工衛星を実際に打ち上げるのではないかという見方を示しています。

▽予想のルート・落下海域は
▽「“衛星”の目的」専門家の見方は
▽自衛隊の対応は

詳しくお伝えします。

政府は29日、北朝鮮から海上保安庁に対し今月31日から来月11日の間に「衛星」と称する弾道ミサイルを発射するという通報があったと発表しました。

これを受けて、岸田総理大臣は関係省庁に対し▽情報の収集・分析に万全を期し国民に適切に情報提供を行うこと、▽アメリカや韓国などの関係国と連携し北朝鮮が発射を行わないよう強く自制を求めること、▽そして不測の事態に備え万全の態勢を取ることを指示しました。

政府は、「衛星」と称したとしても、北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も禁止した、関連の国連安保理決議に違反するものだとして、発射の自制を求めるとともに警戒監視に全力をあげる方針です。

岸田首相「日米韓で緊密連携」

岸田総理大臣は、29日午前10時半ごろ総理大臣官邸に入る際、「衛星と称したとしても、弾道ミサイル技術を用いた発射は国連の安保理決議違反であり、国民の安全にかかわる重大な問題だと認識しており、わが国領域内への落下に備えて、きょう防衛大臣から破壊措置命令を発出した」と述べました。

そして「引き続き情報収集や警戒監視に全力を挙げるとともに、日米、日米韓の関係を通じて緊密な連携を図っていきたい」と述べました。

【予想のルート、落下海域は】

海上保安庁 航行警報を出して船舶に注意呼びかけ

海上保安庁によりますと29日、北朝鮮の水路を担当する機関から海上保安庁の海洋情報部に対し、31日から来月11日までの間に「人工衛星」を打ち上げると通報があったということです。

落下が予想される海域は、いずれも日本の排他的経済水域=EEZの外側にある北朝鮮の南西側の黄海上の2か所と、フィリピンの東側の太平洋上の1か所の合わせて3つの海域で、海上保安庁は、航行警報を出して船舶に注意を呼びかけています。

「日本の領域通過の可能性ある」松野官房長官

松野官房長官は午前10時すぎから開いた臨時の記者会見で、北朝鮮による発射の通報をめぐり「南西諸島含め、わが国の領域を通過する可能性はあると認識している」と述べました。

沖縄県の先島諸島付近の上空を通過か

北朝鮮の今回の通報内容から、事実上の弾道ミサイルは、前回の2016年などと同様に沖縄県の先島諸島付近の上空を通過するとみられます。

具体的には、北朝鮮の衛星発射場がある北西部のトンチャンリから南に400キロから490キロの黄海上と、630キロから720キロの黄海上、それに2760キロから3180キロのフィリピン沖の太平洋上です。

これらの情報から人工衛星と称する事実上の弾道ミサイルは前回2016年2月や、その前の2012年12月と同様に沖縄県の先島諸島付近の上空を通過するとみられます。

【本当に“衛星”なのか】

「軍事偵察衛星の可能性ある」防衛省幹部

複数の防衛省関係者は北朝鮮が今回、人工衛星を実際に打ち上げるのではないかという見方を示しています。

人工衛星を打ち上げるためのロケットと、弾道ミサイルは、構造が基本的に同じで、先端に衛星を積んでいるか、兵器を積んでいるかで目的が異なります。

防衛省幹部の1人は「これまで北朝鮮は衛星の打ち上げを隠れみのにして、ミサイル技術の向上を追求してきたと思うが、ここ最近は衛星の打ち上げに関係なくミサイルを撃ってきている。ミサイルの技術が十分になっているのだとしたら本当に軍事偵察衛星を地球周回軌道に乗せようとしている可能性がある」と話しています。
また別の防衛省幹部は「北朝鮮がおととし発表した国防に関する計画の中では、軍事偵察衛星の保有が目標に掲げられている。それを踏まえると、ミサイル技術の向上というよりは、衛星の運用に向けた動きに近いと考えられる」と話しています。

人工衛星を打ち上げたかどうかを見分けるには、飛行コースや飛行速度を詳しく分析する必要があるほか、人工衛星であれば、地上との交信で通常は何らかの電波や信号を発信するため、防衛省は、自衛隊のレーダーなどでこれらの情報を収集して分析するものとみられます。

【打ち上げのねらいは 専門家の見方】

「弾道ミサイルを正確に目標に命中させるため」

海上自衛隊で司令官を務めた元海将の香田洋二さんは、「北朝鮮は弾道ミサイルを正確に目標に命中させるために必要な情報を収集する能力が欠落していた。攻撃に必要な情報について自前で収集して分析し、攻撃目標を定めて撃ち込むという、軍事サイクルを確立するとともに、科学技術が上がってきたことを示すねらいがあるとみられる」と分析しています。

また、人工衛星を地球の周回軌道に乗せるためには秒速7.9キロ以上の速度で打ち上げる必要があるとした上で「衛星が地上の画像の撮影用だとすると高度が高すぎた場合小さなものが見えなくなり、電波情報の収集用だとすると電波は弱くなるが、より広い範囲を監視できる。偵察衛星や画像衛星の高度は一般的には400キロくらいなので、そのあたりに打ち上げるのではないか」と指摘しています。

その上で「ロケットは発射に失敗し、想定していた方向に飛ぶとは限らないので日本としては警戒態勢が必要だ。発射に成功した場合はどういう高度に打ち上げて人工衛星がどういう特徴を持っているのかを正確に推し量る必要がある」と話しています。

「日本の米軍施設など見るねらいも」

朝鮮半島の安全保障に詳しい防衛省防衛研究所の渡邊武主任研究官は、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返すなかで、人工衛星の打ち上げに必要な能力を獲得してきたと指摘した上で、「実際に人工衛星を打ち上げて軍事的に利用しようとしている。北朝鮮のレーダーでは掌握できる標的の範囲には限界があり、軍事偵察衛星によって日本にあるアメリカ軍の施設なども見ていこうとするねらいがあるとみられる」と分析しています。

打ち上げの時期については「気候などに影響されてくると思う。かつての北朝鮮は何かの記念日に合わせるのが多かったが、それをやると失敗しやすい。示されている期間内で発射に適しているような時期に発射するのではないか」と指摘しています。

その上で「北朝鮮は軍事衛星1号と言っているのでこれからいくつも打ち上げていく可能性があると考えている。軍事衛星と称する弾道ミサイルの技術を使った行動が行われるだろう」と分析しています。

「米軍の原子力空母の把握が目的か」

韓国陸軍の大佐で、韓国国防研究院のイ・サンミン(李相旻)北朝鮮軍事研究室長に北朝鮮の軍事偵察衛星の開発について聞きました。

イ室長は、開発の目的について「アメリカ本土まで届くICBM=大陸間弾道ミサイルで言えば、動かない大都市を攻撃するものなので、人工衛星の役割はそれほど大きくない。海上を移動するアメリカ軍の原子力空母の動きをリアルタイムで把握して、それらが近づくのを阻止したり、撃退したりする目的があるように思われる。弾道ミサイルとともに活用しようというものだろう」と指摘しました。
また、北朝鮮の宇宙開発技術の水準について「まだ初期段階で、位置を変えながら精密に写真を撮影する用途の偵察衛星ではない。しかし、北はすでにロケット推進技術を相当なレベルで確保している。衛星に関する技術も打ち上げを繰り返しながら高めていくと思う」と述べて、今後も引き続き発射を繰り返しながら、開発を推し進めるとの見方を示しました。

【自衛隊の対応は】

浜田防衛相 自衛隊に「破壊措置命令」

浜田防衛大臣は29日午前、自衛隊に対し一部が日本国内に落下する場合に備え、迎撃できるようにするための「破壊措置命令」を出しました。

具体的には、日本の領域に落下することが確認された場合に、東シナ海に展開する海上自衛隊のイージス艦から迎撃ミサイル「SM3」や沖縄県内に展開している地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」を発射して、日本の領域やEEZ=排他的経済水域を含む日本周辺の公海の上空で破壊することを求めています。

自衛隊 迎撃ミサイルなど部隊展開

自衛隊は、北朝鮮の「衛星」と称する弾道ミサイルが日本に落下する場合に備えて「破壊措置命令」が出されたことを受け、迎撃ミサイルなどの部隊を展開しています。

このうち日本の近海では、弾道ミサイルなどを追尾することができる高性能レーダーと、迎撃ミサイルを搭載したイージス艦が展開していて、24時間態勢で備えています。

また、北朝鮮が2012年と2016年に「人工衛星」と称して事実上の弾道ミサイルを発射した際には、沖縄県の先島諸島付近の上空を通過していることから、地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」を陸上自衛隊の与那国駐屯地や石垣駐屯地、航空自衛隊の宮古島分屯基地などに展開しています。
「PAC3」は東京の防衛省の敷地内にも展開しています。このほか、弾道ミサイルなどが落下した場合に危険物質の除去やけが人の救護など必要な対応がとれるよう、陸上自衛隊の部隊も沖縄県内に派遣しています。

自衛隊は、北朝鮮が2012年と2016年に「人工衛星」の打ち上げと称して事実上の弾道ミサイルを発射した際にも、「PAC3」を沖縄本島と宮古島や石垣島、それに首都圏に展開させていますが、いずれも迎撃ミサイルは発射していません。

「人工衛星」称する事実上のミサイルの発射繰り返す

北朝鮮は、1990年代から宇宙の平和利用という主張のもと「人工衛星の打ち上げ」と称して事実上の長距離弾道ミサイルの発射を繰り返してきました。

1998年8月、北東部のムスダンリ(舞水端里)から長距離弾道ミサイル「テポドン1号」が、事前の予告なしに日本の上空を初めて越える形で発射され、北朝鮮は「人工衛星『クァンミョンソン(光明星)1号』を打ち上げた」と発表しました。

2009年4月、北朝鮮は国際機関に事前に通告した上で「人工衛星『クァンミョンソン2号』の打ち上げ」と称して、再びムスダンリから事実上の長距離弾道ミサイルを発射しました。

2012年4月には、キム・イルソン(金日成)主席の生誕100年を前に、北西部トンチャンリ(東倉里)から「地球観測衛星『クァンミョンソン3号』の打ち上げ」と称して、事実上の長距離弾道ミサイルを発射しました。

その際、NHKをはじめ外国メディアに発射施設を初めて公開し、国際社会に向けて透明性をアピールしましたが、発射は失敗しました。この年の12月、キム・ジョンイル(金正日)総書記の死去から1年となるのに合わせて「地球観測衛星『クァンミョンソン3号』2号機の打ち上げ」と称して再びトンチャンリから事実上の長距離弾道ミサイルが発射され、アメリカ軍は、何らかの物体が地球を周回する軌道に乗ったと分析しました。

さらに前回、2016年2月には、キム・ジョンイル総書記の生誕74年を前に「地球観測衛星『クァンミョンソン4号』の打ち上げ」と称して、トンチャンリから事実上の長距離弾道ミサイルが発射され、北朝鮮は、国営テレビで「特別重大報道」として「打ち上げ成功」を大々的にアピールしました。これについて韓国国防省は、何らかの物体が地球を周回する軌道に乗ったものの、信号は確認されていないとしていました。

【国や地元行政の対応は】

日米韓「自制を強く求めていくことを確認」

外務省の船越アジア大洋州局長は、29日午後、アメリカ国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表、韓国外務省のキム・ゴン朝鮮半島平和交渉本部長と電話で対応を協議しました。

この中で、3氏は「衛星」と称したとしても、弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も禁止している国連安保理決議の明白な違反だとして、北朝鮮に対し、自制を強く求めていくことを確認しました。

その上で、地域の抑止力、対処力の強化や、安保理での対応などについて、引き続き日米韓3か国で緊密に連携することで改めて一致しました。

沖縄県 玉城知事「落下の場合 近づかず待避を」

沖縄県は29日午前、玉城知事を本部長とする危機管理対策本部を立ち上げ、午後には各部の部長らが出席して初めての会議が開かれました。

会議では宿泊施設や観光客への情報提供や、防護服の確保など各部で必要な対応を行うことを確認し、玉城知事が、国などの関係機関と連携を密にして的確な情報収集や対策に全庁をあげて取り組むよう指示しました。

また、玉城知事は県民に向けて「防災無線やテレビ、ラジオに注意し、県内で落下が予測されると放送された場合、安全のため屋内に避難して欲しい。近くに何かが落下した場合、不用意に近づかず、できるだけ早く待避するとともに警察や消防への通報をお願いしたい」と呼びかけました。

韓国外務省「発射計画は直ちに撤回を」

韓国外務省の報道官は声明を発表し、「北のいわゆる『衛星発射』は、弾道ミサイル技術を使った一切の発射を禁止する国連安保理決議に深刻に違反するもので、いかなる口実でも正当化できない明白な不法行為だ」としています。

その上で、北朝鮮に対して強く警告し、発射計画を直ちに撤回するよう求めるとしています。

そして「発射を強行すれば、応分の代価と苦痛を受けなければならない。韓国政府は、アメリカや日本との緊密な協力を土台に、国際社会と協力して断固として対応していく」としています。

また、韓国政府は大統領府の国家安保室長や関連する閣僚らが出席して、緊急のNSC=国家安全保障会議を開き、韓国軍の合同参謀本部から報告を受けた上で、対応策などを協議しました。

中国外務省「関係各国が問題の根本 直視を」

中国外務省の毛寧報道官は29日の記者会見で「朝鮮半島情勢がこんにちに至ったのには原因がある。われわれは関係各国が問題の根本を直視し、政治的解決の方針を堅持して有意義な対話を通じてそれぞれの合理的な懸念をバランスよく解決することを望む」と述べました。

【過去の通告は】

過去にも国際機関に対し事前通告

北朝鮮はこれまでも「人工衛星の打ち上げ」と称して事実上の長距離弾道ミサイルを発射するのに先立って、日時や飛行ルートなどの具体的な計画について、IMO=国際海事機関などの国際機関に対し事前通告するとともに、国営メディアを通じて発表しています。

2012年4月は、発射の28日前に「地球観測衛星として『クァンミョンソン(光明星)3号』を北西部のソヘ(西海)発射場から南に向けて打ち上げる」と発表し、5日間の予定期間を設定しました。

また、この年の12月は、発射の11日前に「地球観測衛星『クァンミョンソン3号』の2号機を打ち上げる」と明らかにし、13日間の予定期間を設けました。

さらに、前回・2016年2月は、発射の5日前に「地球観測衛星『クァンミョンソン4号』を打ち上げる」として、18日間の予定期間を国際機関に通告していました。

一方で北朝鮮は、関係国が警戒を強める中で陽動作戦とも受け取れる動きも見せてきました。

2012年12月は、予定期間に入る前日になって「打ち上げの時期の調整を慎重に検討している」として先延ばしを示唆し、翌日には「運搬ロケットの1段目のエンジンに技術的な欠陥が見つかった」として、予定期間を1週間延長。

「運搬ロケット」を発射台から取り外す動きも捉えられましたが、結局、予定期間の3日目に発射されました。

また、2016年2月は、予定期間に入る2日前になって一日前倒ししたうえで、初日に発射していました。

過去には予告期間の初日から3日目までに発射

北朝鮮が「人工衛星」を打ち上げるとして過去に行った4回の通告では、いずれも予告期間の初日から3日目までに事実上の弾道ミサイルを発射しています。

このうち、2009年4月と2012年4月は予告期間の2日目に、2012年12月は3日目、2016年2月は初日にそれぞれ発射しています。

一般的なロケットの場合、強風や強い雨、雷などの悪天候が予想されると、打ち上げに悪影響を及ぼすおそれがあるため、北朝鮮は天候条件などを考慮しながら発射する日を決めるものとみられます。

地球を周回の軌道に物体投入は過去2回と分析

防衛省は、北朝鮮が「人工衛星」を打ち上げると通告して発射した4回のうち、2012年12月と2016年2月の2回について、地球を周回する軌道に何らかの物体が投入されたと分析しています。

一方で、防衛省関係者によりますと、軌道に投入された物体と地上との定期的な通信などは確認されていないということです。

防衛省は、いずれの物体も人工衛星としての機能を果たしているとは考えられないとして、長距離弾道ミサイルの技術を高めるための発射だったとしています。

その後、北朝鮮は2017年7月に初めて射程が5500キロ以上のICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイルを発射しました。それ以降、ICBM級の弾道ミサイルの発射を繰り返し行っていて、その数は可能性のあるものも含めると合わせて13回となっています。

「ソヘ衛星発射場」とは

「ソヘ衛星発射場」は、北朝鮮北西部ピョンアン(平安)北道のトンチャンリにあり、2012年4月に初めて「人工衛星の打ち上げ」と称して事実上の長距離弾道ミサイルが発射され、その後、同じ年の12月と2016年2月に発射が行われています。

敷地内には、大型の固定式発射台や、エンジンの実験などを行う「連動試験場」、それに管制センターにあたる「総合指揮所」などが点在しています。

「ソヘ衛星発射場」をめぐっては、2018年6月に行われた史上初の米朝首脳会談のあと、当時のアメリカのトランプ大統領が、北朝鮮が取り壊すことを約束したと述べたほか、同じ年の9月に行われた南北首脳会談の共同宣言では「関係国の専門家の立ち会いのもと、永久に廃棄する」という項目が盛り込まれました。

しかし、米朝関係がこう着する中で廃棄は実現せず、去年3月に「ソヘ衛星発射場」を視察したキム・ジョンウン(金正恩)総書記は、軍事偵察衛星などを「大型運搬ロケット」で打ち上げられるよう、施設の改修や拡張を指示しました。その後、具体的な動きは伝えられていませんでしたが、アメリカの研究グループは、今月12日に「ソヘ衛星発射場」を撮影した衛星写真の分析から、固定式発射台の近くにクレーンが設置され、改修工事が進められていると指摘していました。

一方「ソヘ衛星発射場」では去年12月、キム総書記の立ち会いのもと、ICBM=大陸間弾道ミサイル用とみられる大出力の固体燃料式エンジンの燃焼実験が初めて行われたのに続いて、準中距離弾道ミサイル2発が発射され「偵察衛星開発のための最終段階の重要実験を行った」と発表していました。