“着床不全の新メカニズム突き止めた” 東京大学 研究グループ

不妊治療では状態のよい受精卵を子宮に入れても着床しないことがあります。東京大学の研究グループは、特定の遺伝子が十分働かず、着床のときにみられる細胞の変化が起きないという着床不全の新たなメカニズムを突き止めたと発表し、治療法の開発につながるのではないかと期待されています。

この研究結果は、東京大学の廣田泰准教授らのグループが細胞の研究に関する国際的な科学雑誌に発表しました。

研究グループは不妊治療を受けている女性38人の遺伝子の状態を詳しく調べ、妊娠した人としなかった人の違いを比較しました。

その結果、妊娠しなかった人では、子宮の内側にある受精卵が接する部分、子宮内膜で働く、EZH2という遺伝子が機能しにくくなっていることがわかりました。

さらに、この遺伝子を子宮の組織で働かなくしたマウスを使った実験では、受精卵が着床する確率が正常のマウスの4分の1程度に下がり、不妊になったマウスの子宮内膜では着床に必要な細胞の変化がほとんど起こらず、受精卵が子宮内膜に入り込まなかったということです。
研究グループは状態のよい受精卵を人工的に移植しても妊娠しない着床不全の新たなメカニズムを突き止めたとしていて、廣田准教授は「着床しづらい人を早めに診断できる技術や、将来的には治療法の開発にもつなげていきたい」と話しています。