参院予算委 集中審議 少子化対策を強化する財源などめぐり論戦

参議院予算委員会で集中審議が開かれ、少子化対策を強化する財源をめぐって、社会保険料への上乗せによる確保は、現役世代の負担増となり適切ではないといった指摘が出されたのに対し、岸田総理大臣は、財源を社会全体で支えることで、子育て世帯にとって、負担より受益が多くなるという視点が重要だという認識を示しました。

自民 加田氏 ウクライナ支援について

この中で、自民党の加田裕之氏はウクライナ支援をめぐり「日本中で多くの避難民支援が行われた。それぞれの自治体が得意分野を生かした形で、復興支援をすることは、日本とウクライナの関係にいい結果をもたらす」と述べ、政府の対応を質問しました。

岸田総理大臣は「ウクライナの人々に寄り添った支援を、オールジャパンで実施していく。ニーズを踏まえつつ、透明かつ公正な形で支援に取り組んでいけるよう、地方自治体とウクライナとの関係を強化する取り組みも政府として後押ししていきたい」と述べました。

立民 森本氏 G7「広島ビジョン」について

立憲民主党の森本真治氏は、G7広島サミットで発表された核軍縮に関する首脳声明「広島ビジョン」について、「被爆者団体の方々をはじめ、内容に落胆の声も上がっている。核兵器のない世界に向けての具体的な内容をもっと発信していかなければならず、余韻が冷めないうちに、8月6日、9日までに具体的な取り組みも示すべきだ」と求めました。

岸田総理大臣は、「今回の『広島ビジョン』にさまざまな指摘や批判があることは十分承知している。今後、どのように具体化していくかが大変重要なポイントで、秋の国連総会を念頭に置きながら次のステップを考えていく」と述べました。

公明 平木氏 中国やロシアとの関係について

公明党の平木大作氏は、中国やロシアとの関係について、「G7を見渡しても核の問題について、ロシア、中国と、2国間で対話ができるのは日本しかない。この2つの国とどう向き合っていくのか」と質問しました。

岸田総理大臣は、「中ロを含む関係国を巻き込んだ軍備管理・軍縮の取り組みが重要だ。今後も中ロ双方に対して、核軍縮の誠実交渉義務を定めるNPT=核拡散防止条約のもとで、関連する多国間および2国間のフォーラムにおいて実質的に関与を求めていきたい」と述べました。

維新 音喜多政調会長 少子化対策を強化する財源について

日本維新の会の音喜多政務調査会長は、少子化対策を強化する財源について「社会保険料の転用あるいは増額で少子化対策を行う手法は、現役世代の負担を増やして、現役世代に投資をするという、いわばタコがみずからの足を食べるような手法であり、適切な分配とは言えない」とただしました。

岸田総理大臣は「まずは歳出改革の徹底などで国民の実質的な負担を最大限抑制したい。少子化は社会全体の問題であるという認識のもと、高齢者や企業も含めて社会・経済の参加者全体で子育て世帯を応援していく。若い子育て世帯にとって受益のほうが多いという視点が重要だ」と述べました。

国民 大塚代表代行 東アジア情勢について

国民民主党の大塚代表代行は、東アジア情勢をめぐり「東アジアでは残念ながら力による現状変更というようなおそれがあるからこそ、防衛力の抜本強化の話にもなっている。極東情勢について広島サミット参加国は、どういう認識だったのか」と質問しました。

岸田総理大臣は「インド太平洋地域情勢も大きなテーマとしてあげられた。中国をはじめとする東アジア情勢についても議論をたたかわせ、北朝鮮の問題もあり、大変厳しい安全保障環境にある中で対話に基づいて地域の安定を維持していくためにはどうあるべきなのか議論が行われた」と述べました。

共産 仁比氏 出入国管理法などの改正案について

共産党の仁比聡平氏は、外国人の収容の在り方を見直す出入国管理法などの改正案をめぐり「傍聴席には亡くなったウィシュマ・サンダマリさんの妹が来ている。野党は対案を出して徹底審議を求めているわけだからしっかり審議をするか、もっと時間が必要なら、政府案を棚上げするぐらいが当然だ」とただしました。

岸田総理大臣は「改めてウィシュマさんに心より哀悼の意を表し、このような事案を二度と起こさないために法務省でしっかりと改善策に取り組んでもらいたい。法案の取り扱いは、国会で決めてもらう課題だ」と述べました。

れいわ 山本代表 経済政策について

れいわ新選組の山本代表は、経済政策について「まずは需要の回復と喚起をいちばんにしてほしい。カンフル剤としての消費税廃止そして社会保険料の減免、悪い物価高が収まるまでの季節ごとの給付金が必要だ」と求めました。

岸田総理大臣は「国民に対して経済の果実をしっかりと分配していくという観点が重要だということから、『成長と分配の好循環』ということを申し上げてきている。この好循環を実現することで、成長の果実の分配を行い、持続可能な経済を実現していきたい」と述べました。

岸田首相 “マイナンバーカード 信頼確保に万全の対策”

一方、マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次いでいることについて、岸田総理大臣は「個人情報の保護、国民の信頼確保は大前提で重く受け止める。河野デジタル大臣に対して、マイナンバーカードへの信頼確保に向けて万全の対策を迅速かつ徹底して講じるよう指示を出した。政府一丸で対応していく」と述べました。