アルコール消毒液 使用期限が切れたらどうする?

最近使う頻度が減ってきたアルコール消毒液。実はその多くに3年の使用期限があります。つまり、新型コロナの感染拡大が始まった2020年に買ったものは、そろそろ期限が切れてしまうのです。

「アルコール消毒液どうしますか?」

街で取材してみると「邪魔なので流しに捨てようと思う」という声も。使わなくなったアルコール消毒液、どうすればいいか調べてみました。

(松江放送局 記者 三井蕉子)

流しに捨てるのはダメ

まずは、街で聞かれた「中身は流しに捨てて容器はゴミに出す」という方法について。

私が同僚に聞いた時も多かった回答でしたが、ダメでした。

コロナ禍であまりに生活に溶け込んだため忘れがちですが、アルコール消毒液の多くはアルコール濃度が60%以上で、消防法上の“危険物”にあたります。
揮発性があり引火しやすいため火気厳禁の取り扱いです。

液体なので、余ってしまったらつい流しに捨ててしまいそうですが、下水道管の中で火災が起きる可能性もあるとのことで、東京都下水道局は「やめてください」と話します。

それでは水道で薄めながら捨てることはどうなのでしょうか。

東京都下水道局
「そもそも下水に流していいのは、下水道法上は排“水”だけです。アルコールは液体ですが“水”ではありません。生活排水とは、洗濯や風呂など生活する中で出る水のことで、危険物であるアルコール消毒液はもちろん、賞味期限が切れたからといって、まだいっぱい入っている調味料や牛乳などを流す事も本来してはいけないことなのです」

まもなく期限切れも…

新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行したのに伴い、店の入り口から姿を消しつつあるアルコール消毒液。

実はその多くに使用期限があり、だいたい製造日から3年になっています。
つまり、新型コロナの感染拡大が始まった2020年に買ったものは、そろそろ期限が切れてしまうのです。

ちなみに写真の消毒液は私の家にあったもの。

来月(6月)で使用期限が切れてしまいます…。

少量余ったら「雑巾や古紙を使って」

では、流しに捨てる事ができないアルコール消毒液が期限切れで余ってしまったら、どうすればいいのでしょうか。

東京23区は、いずれも家庭ゴミの分別表にアルコール消毒液の文字は見当たらず。
すべての自治体に問い合わせてみました。

すると、どの自治体からも同じような回答が返ってきました。

まとめると次の通りです。
東京23区の場合
▽液体は収集できません
▽少量余ったら雑巾や古紙にしみこませる
▽しみこませた雑巾や古紙は乾燥させてから燃えるゴミ
▽空になった容器は材質にあわせて分別
つまり、雑巾や古紙にしみこませたアルコールと水分が乾けば、それらは燃えるゴミとして収集できるといいます。

注意点として、雑巾や古紙にしみこませる時は、屋外など十分に換気された場所で、近くに火の気がないことを確認したうえで行うこと。

そして、空になった容器は、プラスチックやガラスなど、それぞれの材質にあわせて分別して捨ててほしいとしています。

消毒液が入ったまま容器ごと捨ててしまうとゴミ収集車や焼却場で引火する可能性があり危険です。

流しに捨てるのと同様、やってはいけません。

また、大量に余って、この方法では処理できない場合は、薬品などを処理する専門業者に依頼してほしいとしています。

手指の消毒以外の使いみちは?

ただせっかく買ったアルコール消毒液、もったいないしできれば捨てたくないというのが、ほとんどの人の気持ちではないでしょうか?私もその1人、来月期限切れになる前にわが家のアルコール消毒液を有効に使い切れないものか。

そこで、手指の消毒以外の使いみちはないか、メーカーに聞いてみました。

健栄製薬担当者
「これからの時期に気になる食中毒やカビ対策として使えるものがあります」
メーカーによると大事なのは、アルコール消毒液の成分を確認することだといいます。

成分がエタノールと水だけの消毒液は使える用途が幅広く、まな板や包丁などの調理器具や台所のシンクに吹きかけることで殺菌・消毒ができるそうです。

また少量を布巾にしみこませて冷蔵庫や電子レンジの中などをさっと拭きあげたり、カビ対策として浴室の壁や天井などに吹きつけたりする事も効果的とのことです。

一方で、グリセリンやヒアルロン酸ナトリウムといった保湿成分が入っている消毒液もあり、これらについては手指の消毒以外の使用は推奨していないということです。

詳しくはそれぞれの製造会社のホームページなどでご確認ください。