農業白書「食料安全保障の強化」初の主要テーマに

ことしの「農業白書」が公表され、ロシアによるウクライナ侵攻などで世界的な食料危機への懸念が高まるなか、「食料安全保障の強化」を初めて主要なテーマに掲げ、農産物などを輸入に依存する構造から転換する必要があるとしています。

政府が26日の閣議で決定した「農業白書」では、「食料安全保障の強化」について特集のページを設けるなど関連する記述を大幅に増やしました。

このなかで小麦の国際価格は、中国で需要が拡大する一方、ウクライナ侵攻をきっかけに供給への不安が生じたため、去年3月には過去最高値を更新し引き続き高値で推移しているとしています。

また肥料の原料となる尿素などの輸入価格も一時、過去最高となるなど価格が大きく変動しているとしています。

日本では農産物や肥料の輸入を限られた国々に依存していて、なかでも小麦は北米とオーストラリアからの輸入が全体の99%余り、尿素はマレーシアや中国などからの輸入が全体の95%を占めているということです。

このため白書では、農産物などを輸入に過度に依存する構造から転換し、国内生産を拡大すべきだと強調しています。

その上で、国産の小麦や大豆などの品質の安定や供給体制の確立に努めるほか、輸入国との関係強化や調達先の多角化などが重要になると指摘しています。