仏カンヌ映画祭 役所広司さん主演映画に観客から大きな拍手

世界3大映画祭の1つ、フランスのカンヌ映画祭の、最優秀賞を競う部門で俳優の役所広司さんが主演する新作映画が上映され、観客から大きな拍手が送られました。

役所広司さんが主演する映画は、ドイツの世界的な映画監督ヴィム・ヴェンダース監督の新作「PERFECT DAYS」(原題)です。

東京 渋谷の公共トイレを舞台に撮影した作品で、トイレの清掃員として働く主人公の男性を役所さんが演じています。

この映画はことしのカンヌ映画祭で、最優秀賞にあたるパルムドールを競うコンペティション部門に、ノミネートされていて、25日の上映会の前には、役所さんやヴェンダース監督が、ほかの俳優らと一緒にレッドカーペットに登場し、写真撮影に応じていました。

上映会には多くの観客が詰めかけ、上映が終わると、次々と立ち上がり大きな拍手を送っていました。

作品を見たアメリカ人の女性は、「日常の生活でのささいな幸せを切り取っていて、人生が豊かに感じられる映画でした。主人公は、繊細な感情をうまく伝えていて映像もとてもきれいでした」と話していました。

ことしのカンヌ映画祭のコンペティション部門には、是枝裕和監督の新作「怪物」もノミネートされていて、審査の結果は日本時間の28日に発表される予定です。

役所広司さん「温かい拍手に感動」

上映後、日本のメディアの取材に応じた主演の役所広司さんは、「温かい拍手に本当に感動した。カンヌ映画祭に来る観客は目の肥えた人ばかりで、そういうかたがたに見てもらえて嬉しい」と話していました。

また、ヴェンダース監督については、「日本の文化や習慣に関心を持ち小津安二郎監督を尊敬し、影響を受けたと話していた。撮影ではチームリーダーとして牽引する力がすごく、ユーモアもあり、人間的に立派な方だ」と述べ、称賛していました。

役所さんが演じる主人公の姪役として出演した中野有紗さんは、「この作品は主人公であるトイレ清掃員の平山の日常の幸せや景色の美しさを繊細に描いている作品。それに気づいてほしいと願っていたが、お客さんの大きな拍手を聞いて自信になった」と話していました。

また、ホームレス役として出演した田中泯さんは、「素晴らしい作品に出られて本当に光栄だった。ヴェンダース監督の現場はみんなが思っている意見を言え、日本とは違う、あるべき創造の現場だった」と、撮影現場の様子を明かしていました。

主人公の同僚のガールフレンド役を演じたアオイヤマダさんは、「銭湯やスナックなど、日本ならではの細やかさを世界に示せたのはヴェンダース監督だからこそ。役所さんも姿を消しながらまわりを引き立てていて、料理の塩みたいな存在だった」と述べ、笑いを取っていました。