【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(26日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる26日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ東部 ドニプロの医療施設など ロシア軍が攻撃 1人死亡

ウクライナ当局は26日朝、ウクライナ東部ドニプロにある医療施設などがロシア軍の攻撃を受け、これまでに1人が死亡、23人がけがをしたと明らかにしました。

けが人には3歳と6歳の男の子が含まれているということです。

ウクライナ大統領府が公開した現場とされる映像では、建物の屋根や壁が崩れ、黒い煙があがっているのが確認できます。

ウクライナのゼレンスキー大統領は自身のSNSで、犠牲者に哀悼の意を表したうえで、ロシア軍の攻撃について「私たちは一刻も早く非人道的な連中を倒さなければならない」と強く非難しました。

クレムリンへの無人機攻撃 “ウクライナ関与の可能性” 米報道

アメリカのニューヨーク・タイムズやCNNテレビは24日、今月3日にロシア大統領府がクレムリンに対して2機の無人機による攻撃が仕掛けられたと発表したことについて、ウクライナ側が関与していた可能性があるとする見方を伝えました。

このうち、ニューヨーク・タイムズは複数のアメリカ政府当局者の分析として「ウクライナの特殊機関または諜報機関のいずれかによって計画された可能性が高い」と報じています。

今回の攻撃をめぐっては、ロシア側による自作自演という見方も指摘されていますが、ニューヨーク・タイムズはロシア側を傍受した通信内容などから「ロシア当局者は無人機の侵入に驚いたようだ」とする一方で、ウクライナ側からは「ウクライナに攻撃の責任があると信じている」とする通信を傍受したとしています。

一方で、ゼレンスキー大統領や幹部が計画を承認していたかは不明だとし、一部のアメリカ側の当局者は「ゼレンスキー大統領は知らなかったと考えている」とする見方を伝えています。

そのうえで、ニューヨーク・タイムズは「計画はウクライナの最大の軍事支援国であるアメリカの当局者を不快にさせるものだ。バイデン政権はロシアがアメリカを非難し、戦争を拡大させる形で報復に出る危険性を懸念している」と指摘しています。

これに対し、ウクライナ大統領府のポドリャク顧問は25日ロイター通信に対し「奇妙で無意味な攻撃だ」などとしてウクライナ側の関与を改めて否定しました。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は25日「ウクライナの政権が背後にいることはわかっていたことだ」と述べ、ウクライナ側による攻撃だという主張を強調しました。

プーチン大統領の前で旧ソビエト諸国の首脳が口論

ロシアのプーチン大統領が25日、モスクワに旧ソビエト諸国の首脳を集めた会議の席上、アルメニアとアゼルバイジャンの両首脳が、長年の係争地となっているナゴルノカラバフをめぐって公然と口論になるひと幕がありました。

プーチン大統領が割って入りその場を収め、その後、プーチン大統領を交えた3者会談も行われましたが、1週間後に副首相レベルで再び協議を行うことで一致したのにとどまりました。

ナゴルノカラバフの問題をめぐっては、欧米も仲介に入る姿勢を示していて、アルメニア政府によりますと来月1日にはモルドバで、フランスやドイツなどを交えて、アルメニアとアゼルバイジャンの首脳による協議が行われるということです。

旧ソビエトを勢力圏とみなすプーチン大統領にとっては、地域の安定に向けた仲介役を担って存在感を誇示したいねらいがあるとみられますが、調査会社「ギャラップ」の調査では、アルメニアでロシアの指導力に対する支持率が去年は32%と、前の年より13ポイント下がるなど、ウクライナ侵攻後のロシアの影響力の低下がうかがえます。

カザフスタン大統領「核兵器さえも2つの国で1つ」懸念示す

カザフスタンのトカエフ大統領は24日に行われたユーラシア経済同盟の会合で演説し、ロシアのプーチン政権が同盟関係にある隣国ベラルーシに戦術核兵器を配備すると表明したことを念頭に「失礼だが、いまや核兵器さえも2つの国で1つだ」と述べ、ロシアとベラルーシが政治経済や文化などだけでなく核兵器までも共有していると指摘し懸念を示しました。

ウクライナとロシア 艦艇による戦闘映像を双方公開

ウクライナの南に広がる黒海の海上では、ウクライナとロシアの艦艇による戦闘が行われています。

ウクライナ国防省は「ロシアの情報収集艦『イワン・フルス』がウクライナの無人艇に遭遇した」というコメントを25日、SNSに投稿し、無人艇に搭載したカメラで撮影した映像を公開しました。

映像では、ウクライナ軍の無人艇が海面を蛇行しながらロシア軍の艦艇に接近する様子がうつしだされ、間近に迫ったところで信号が乱れ、そのまま途絶えています。

攻撃の結果についてウクライナの公共放送は「船体や装備が損傷し、負傷者がいる」と伝えています。

一方、ロシア国防省の報道官は「ロシア黒海艦隊の『イワン・フルス』に攻撃を仕掛けてきたウクライナ軍の3隻の無人水上艇を破壊した」と発表し、映像を公開しており、攻撃の結果をめぐる双方の主張は食い違っています。

ベラルーシ大統領 戦術核兵器「保管施設など準備する」

ロシアは同盟関係にある隣国ベラルーシとの間で25日、ロシアの戦術核兵器をベラルーシ領内に配備する合意文書に署名したと発表しました。プーチン大統領は戦術核兵器の保管施設をことし7月1日までに建設するとしています。

これについてモスクワを訪問していたベラルーシのルカシェンコ大統領は記者団に対し、プーチン大統領とも話し合ったとしたうえで「保管施設などを準備する。移転が始まった」と述べました。

一方で、すでにベラルーシに核兵器が到着したかどうかについては「可能性はある。これから戻って確認する」と述べ、明言を避けました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は25日「ベラルーシの安全保障領域をロシアの下に従属させようとする取り組みだ」として、ロシアが軍事面でベラルーシへの影響力を強めていると指摘しました。

そのうえで、ベラルーシに戦術核兵器はまだ配備されていないと分析し、プーチン大統領が核の配備をちらつかせた情報戦を展開することで、欧米への揺さぶりを強める可能性があるという見方を示しています。

ウクライナ大統領府長官「捕虜のウクライナ側兵士106人解放」

ウクライナ大統領府のイエルマク長官は、東部ドネツク州のバフムト方面で戦い、ロシア側の捕虜となっていたウクライナ側の兵士合わせて106人が解放されたと、25日SNSに投稿しました。

現地からの映像では、負傷し仲間に支えられながら歩いたり、ひつぎを運んだりする様子が確認できます。

ゼレンスキー大統領は25日の声明で、解放された106人について「これまで全く情報がなく行方不明とされていた。実にすばらしい仕事だ」と述べ、捕虜の交換を実現したウクライナ政府や軍の関係者に謝意を示しました。

米国防長官 ウクライナ兵へのF16訓練 “数週間以内に開始を”

アメリカのオースティン国防長官は、ウクライナへの軍事支援について各国が話し合う会合に出席し、ウクライナ兵へのF16戦闘機の訓練について今後、数週間以内に開始したいという考えを示しました。

この会合は、ロシアによる侵攻が続くウクライナへの軍事支援を話し合うためアメリカが主催しているもので、25日、およそ50か国の国防相らが参加してオンライン形式で開かれました。
この中でアメリカのオースティン国防長官は、ウクライナが求めているF16戦闘機をめぐり、先週、バイデン大統領がG7広島サミットでウクライナ兵に対する訓練を支援すると表明したことについて、「われわれの団結とウクライナの自衛に対する長期的な関与についての力強いメッセージを送るものだ」と述べました。

その上で「われわれはこの訓練が数週間のうちに始まることを望んでいる」と述べました。

オースティン長官は会合のあとの記者会見で、オランダとデンマークがアメリカなどと協力して訓練の枠組みを策定するとした上で、ノルウェーやベルギー、それにポルトガルやポーランドから支援の申し出があったと明らかにしました。

プーチン大統領 旧ソビエト諸国の経済協力拡大へ 結束アピール

ロシアのプーチン大統領は25日、ロシアが主導し、旧ソビエトの5か国が加盟するユーラシア経済同盟の首脳会議で演説し「多極化する世界でわれわれの枠組みが中心の1つとなっている」と述べ、経済協力を拡大させたい意向を示して、結束をアピールしました。

またロシアのショイグ国防相は25日、同盟関係にある隣国ベラルーシでフレニン国防相と会談し、ロシアが戦術核兵器をベラルーシ領内に配備する合意文書に署名しました。

ショイグ国防相は「核兵器の管理や使用については今後もロシアが決定する」と述べ、特別な保管施設で管理するとして「国際法を順守している」と主張しました。

プーチン大統領は7月1日までに戦術核兵器の保管施設を建設するとしていて、欧米側を改めてけん制した形です。

米国務省報道官「ロシアの無責任な行動」

アメリカ国務省のミラー報道官は25日、記者会見で「ロシアが大規模な軍事侵攻を開始して以降、われわれが目の当たりにしたロシアの無責任な行動の最新の例の一つだ」と述べ、非難しました。

その上で「ロシアが核兵器の使用に向けた準備をしている兆候は見られない」としながらも、「われわれは、化学兵器や核兵器の使用は、厳しい結果を招くと明確にしてきた」と述べ、ロシアをけん制しました。

ウクライナ大統領府顧問「反転攻勢始まっている」

ウクライナ大統領府のポドリャク顧問は、24日に行われたイタリアメディアとのインタビューで「反転攻勢は数日前から始まっている。1500キロにおよぶ戦線での激しい戦いだ」と述べ、大規模な反撃が始まっているという認識を示しました。

ポドリャク顧問はその後、ツイッターで反転攻勢について「特定の日時に始まるようなイベントではない。ロシアの占領軍を破壊するため、さまざまな方面で行われる数十の行動だ。きのうもきょうも行われ、あすも継続される」と投稿し、領土奪還に向けたウクライナ軍の動きに関心が高まっています。