【26日詳報】長野4人殺害「悪口言われたと思い殺した」

長野県中野市で猟銃で撃たれるなどして4人が殺害された立てこもり事件で、警察官1人を殺害した疑いで逮捕された31歳の容疑者が、「被害者の女性に悪口を言われたと思って殺した。射殺されると思ったので駆けつけた警察官も殺した」という趣旨の供述をしていることが捜査関係者への取材で分かりました。警察は事件の詳しいいきさつを調べています。

【25日の発生から27日夜までに取材で明らかになったことをまとめました】

25日午後4時半ごろ中野市江部で、男が女性2人をナイフで刺したうえ、通報を受けて駆けつけた警察官2人を猟銃で撃って近くの住宅に立てこもりました。

この事件で現場近くに住む村上幸枝さん(66)と竹内靖子さん(70)、それに中野警察署の玉井良樹警部補(46)と池内卓夫巡査部長(61)の4人が死亡しました。

立てこもったのは中野市議会議長の長男で農業を営む青木政憲容疑者(31)で、警察は事件から半日がたった26日午前4時半すぎに身柄を確保し、池内巡査部長に対する殺人の疑いで逮捕しました。

警察によりますと調べに対し「殺しました。撃ったことは間違いありません」と容疑を認めているということです。

また、その後の調べで、動機について「被害者の女性に悪口を言われたと思って殺した。射殺されると思ったので駆けつけた警察官も殺した」という趣旨の供述をしていることが捜査関係者への取材で分かりました。

警察はさらに詳しく事情を聞いて、事件にいたるいきさつを調べることにしています。

青木容疑者とは

青木政憲容疑者は、長野県中野市内で農園を経営しています。父親は青木正道中野市議会議長で、父と母、おばと4人で暮らしていました。中野市によりますと「まさのり園」の代表者が青木容疑者となっています。

青木容疑者の両親を知る男性によりますと、両親は中野市内でジェラート店を経営していて、開店当初から冬でも客が来るような人気店でした。

ふだん、多くの時間は母親が店頭に立ち、父親が姿を見せることもあったということですが、青木容疑者を見た記憶はないということです。

また、軽井沢町のジェラート店にも、自分たちの農園で採れた果物を店に搬入していたということです。

小中学校時代の同級生だったという男性は、「小さいころは母親どうしが知り合いで私もよく見かけていた。妻や娘によると、小学校低学年のときはけっこうやんちゃだったが、高学年になるとおとなしくなったとのことだった」と話していました。

また、父親の知人で10年ほど前に青木容疑者と会ったことがあるという男性は「おとなしかった。話しかければ返事はするがそれ以外は話さない様子だった」と話していて、「父親は以前『息子を家業に入れて仕事をさせようと思う』という趣旨の話をしていた」と話していました。

また、父親の知人だという男性は容疑者について「おとなしい性格で、あいさつ程度しかしたことはない」と話しています。

また、登記簿には青木容疑者が去年11月29日、みずからの名義でこの自宅に抵当権を設定し、地元の金融機関から300万円の融資を受けていると記載されています。

長野県警察本部長が会見「痛恨の極み」

長野県警察本部 小山巌本部長
事件を受けて、26日正午から長野県警察本部の小山巌本部長らが会見を開きました。現在、容疑者は取り乱すことなく取り調べに応じ、容疑を認めているということです。

立てこもっている間の状況について、容疑者からの要求はなかったとしたうえで、警察として説得を行うなどした結果、投降したことを明らかにしました。玄関から外に出てきた際には容疑者が頭に手を乗せて何も持っていないことを確認して警察官が近づき、確保したということです。

容疑者は平成27年以降、散弾銃や猟銃など4丁を所持する許可を持っていたとしています。容疑者に関するトラブルの相談については「現時点で把握はない」としたうえで、今後さらに確認を行うということです。

小山本部長は「亡くなった2人にお悔やみを申し上げる。警察官2人が殉職したことは痛恨の極みだ」と述べ、全容解明を進めるため100人態勢の捜査本部を設置したことを明らかにしました。

容疑者の父親が議員辞職

逮捕された青木政憲容疑者の父親で中野市議会議長の青木正道議員が26日議員辞職を願い出て、許可されました。議会事務局によりますと、理由については「一身上の都合」だということです。

【事件の概要】

25日午後4時半ごろ、中野市江部で「男が女性を刺した」と110番通報があり、警察が現場に駆けつけたところ、青木容疑者が警察官に猟銃のようなものを発砲し、自宅に立てこもりました。

この事件で現場近くに住み刃物で刺された村上幸枝さん(66)と竹内靖子さん(70)、それに猟銃のようなもので撃たれた中野警察署の玉井良樹警部補(46)と池内卓夫巡査部長(61)の4人が死亡しました。

容疑者が立てこもった自宅には当時、57歳の母親と60歳のおばがいましたが、いずれも25日夜から未明にかけて逃げ出し、警察に保護されました。

その後も1人で立てこもり続けましたが、事件から半日がたった午前4時37分、説得に応じて外に出てきたところを確保されました。

警察は亡くなった4人のうち、池内巡査部長の胸を猟銃のようなもので撃って殺害したとして、殺人の疑いで逮捕しました。

警察によりますと、青木容疑者は取り乱す様子などはなく、調べに対し「殺しました。撃ったことは間違いありません」と容疑を認めているということです。

長野県警察本部は捜査本部を設置して、事件のいきさつや動機について詳しく調べることにしています。

谷国家公安委員長「猟銃許可手続き問題なし」

谷国家公安委員長は26日の記者会見で、逮捕された市議会議長の長男について「長野県公安委員会から猟銃や空気銃の所持の許可を受けていたと報告を受けている。毎年、更新もしていた」と述べ、手続きに問題はなかったことを明らかにしました。その上で「銃の使用状況などについては捜査中だが、捜査の結果を踏まえ、銃などの今後の安全確保策について適切に対応したい」と述べました。

容疑者は北信地域の猟友会に登録

中野市を含む長野県の北信地域におよそ170人の会員がいる「北信猟友会」によりますと、容疑者は会員に登録されていたということです。

一般に北信猟友会のように地域単位の猟友会に所属する場合は、市町村にある猟友会に所属するケースが多いということですが、容疑者は地元の「中野市猟友会」には入っていなかったということです。

このため、地元の猟友会が行うことになっている有害鳥獣の駆除の活動には参加していなかったとみられるとしています。

また、現場近くに住む男性によりますと、5年ほど前、青木容疑者が猟銃の免許を取ったとして警察官からどのような人か聞かれたことがあり、その際、「普通の人だ」と答えた記憶があるということです。

容疑者の同級生「事件を起こすなんて想像できず驚いた」

容疑者と中学校時代の同級生だという女性は「ニュースを見て、もしかしたらと思って名簿や文集を見たらやっぱり同級生でした。中学の時はクラスが一緒になったことはなく、交流はありませんでしたが、確か野球部で、おとなしい印象しかありません。勉強はできたと思いますが、卒業後は同窓会もないので進路も知らず、ジェラート屋をやってたのもニュースで知りました。同級生がこのような事件を起こすなんて想像できなかったし、本当に驚きました。今は怖い気持ちが膨らんできて、なんでそんなことになったのかと思うととにかく怖いです」と話していました。

容疑者を知る住民は

避難所で一夜を過ごした現場近くに住む60代の男性は、「きのうは自宅にいたら救急車の音が聞こえて何かあったなと思っていたら、警察官がたくさん来た。容疑者が中野市議会の議長の息子だと聞いてびっくりした」と話していました。

議長の息子とは去年、話をしたことがあるということで、「議長の家を訪ねた際に息子と話したが、普通に接してもらったし、家族の仲も悪いようには感じなかった。息子は父親と一緒に果樹農家をしていたと聞いている」と話していました。

また、青木政憲容疑者の父親の知人で、10年程前に青木容疑者と会ったことがあるという男性は「おとなしかった。話しかければ返事はするがそれ以外は話さない様子だった」と話していました。

男性は「父親は以前『息子を家業に入れて仕事をさせようと思う』という趣旨の話をしていた。農業がうまくいっていると思っていたので、事件のことを知って驚いた」と話していました。

亡くなった警察官「相手の思いを引き出す名コンビ」

亡くなった玉井良樹警部補と池内卓夫巡査部長の同僚によりますと、2人はいずれも、この春から中野警察署に配属され、2人1組でパトロールを行うことが多かったということです。

そのうえで、「2人とも職務質問で相手の思いを引き出すことができる名コンビだった。優しさと鋭さを兼ね備えていて、人柄としても若手の目標となる警察官で、自分から見ても憧れだった。家族のような2人を失い、とても悲しい」と話していました。

亡くなった池内巡査部長 “優しい人柄で慕われていた”

関係者によりますと、亡くなった池内卓夫巡査部長はおよそ40年前に警察官になってから、主に北信地方の警察署の地域課を中心に勤務していたということです。また、事件や事故などの通報を受けて現場に最初に駆けつける自動車警ら隊などに所属した際には、事件が起きると真っ先に現場に向かっていたということです。

その一方、県警の音楽隊で長く活動し、県内各地で行われる演奏会では、ドラムなどの打楽器を担当していました。あまり酒は飲まず、真面目な性格で、後輩からは優しい人柄で慕われていたということです。

亡くなった玉井警部補 “明るい性格で子どもから好かれていた”

関係者によりますと、亡くなった玉井良樹警部補は人から頼まれれば何でもやる性格で、周りからも慕われていたということです。また、交番所長だったときには、登下校中の児童らに積極的にあいさつするなど明るい性格で、子どもたちからも好かれていたということです。

亡くなった村上幸枝さん “花好きで穏やか”

亡くなった村上幸枝さんと地区の活動を一緒にしたことがあるという70代の男性は、「村上さんは花が好きでプランター屋をしていました。『よい花だね』と言ったら、花を譲ってくれたこともありました。性格も穏やかで相談にも乗ってくれました。なぜ、こんなことになってしまったのか」と話していました。

また、「村上さんの一家と中野市議会の議長の青木さんの一家との間でトラブルがあったという話は特に聞いておらず、事件が起きて驚きました」と話していました。

知り合いの女性「2人で散歩する姿よく見かけた」

亡くなった村上幸枝さんと竹内靖子さんの2人と知り合いだという60代の女性は、「2人で夕方ごろ農道を散歩する姿をよく見かけました。農道を歩いてるときに事件に巻き込まれたのかもしれません」と話していました。

2人については「村上さんは料理が上手で、花が好きな方でした。自宅の庭には花を植えてきれいにしていました。竹内さんは猫や植物が好きな人で、ぶどうを頂いたお返しに野菜をあげたこともありました。事件が起きてショックで残念です」と話していました。

また容疑者については、「スポーツが好きな人で、最近、農園を始めたと聞いていました。そんなやさきに事件が起きて驚きました」と話していました。

村上さんの心肺蘇生を行った男性

25日、現場で刺されて亡くなった村上幸枝さんの心肺蘇生を行った男性が取材に応じました。

男性によりますと、畑で作業をしていたところ、近所の男性から救急車を呼ぶよう依頼されたということです。そのため、男性は119番通報をしたあと、救急隊が到着するまでの間、村上さんの心肺蘇生を行っていました。
この時、村上さんは手首や背中から出血していたということです。そして、パトカーが現場に到着したところ、容疑者が現れたということです。

男性は「銃のようなものを持っていて、おもちゃだと思っていたところ、いきなり、パトカーの運転席側に向かって銃を向けた。笑みを浮かべて楽しんでいる様子だった。そのあと、発砲音が2回聞こえた」と話していました。

また、容疑者については「素直でいい子で、野球をするなど活発な子だった。一方で昔から人と話すのは苦手だった」と話していました。

亡くなった竹内靖子さん “自然体でとても優しい人”

亡くなった竹内靖子さん(70)は、長野県中野市内で行われているパン教室に通っていたということです。講師を務める女性は「事件を知ってびっくりしている。先ほど現場の近くに行き、心の中で手を合わせてきました」と話していました。

また「竹内さんはパン教室に4、5年前から月1回のペースで通い、几帳面でコツコツとパン作りをしていました。最近は、健康のために毎日歩いていると話していたのを覚えています。事件のあと、竹内さんと仲が良い友人と話しましたが、友人は『昨日、最近物騒な事件が多いから危ないよとメールを送っていた』と話し、ショックを受けていました」と話していました。

また、竹内さんの友人の女性は「5年前からパン教室に一緒に通っていて、いつも悩み事の相談に乗ってくれたり、体調を心配してくれたり、自然体でとても優しい人です。こんなことになるなんて信じられないし、本当にショックを受けています」と話していました。

また「竹内さんは趣味の押し花の作品で個展を開いたり、陶芸教室にも通ったり、さまざまな趣味を持つ人でした。近所の友人と一緒に食事に行ったという話もよく聞いていて、友人の多い人でした」と話していました。

松野官房長官 「全容解明に向け捜査」

松野官房長官は記者会見で「女性2人が亡くなり、警察官2人が殉職されたとの報告を受けたところであり、4人のご冥福をお祈り申し上げるとともに、ご遺族に心よりお悔やみを申し上げる。現在、警察で犯行に至った経緯や背景を含め、事件の全容解明に向けて捜査を進めている」と述べました。

【これまでに分かっている経緯】

これまでに分かっている事件の経緯です。

26日 09:38時点 殺人の疑いで逮捕

警察は61歳の警察官の胸を猟銃のようなもので撃って殺害した殺人の疑いで、中野市議会議長の息子で農業を営む青木政憲容疑者(31)を逮捕しました。

26日 08:15時点 殺人の疑いで逮捕状を請求

長野県中野市で男が猟銃のようなものを発砲するなどして4人が死亡した事件で、警察は殺人の疑いで男の逮捕状を請求しました。

26日 05:45時点 高齢の女性1人死亡

警察によりますと、午前4時半過ぎに現場近くで倒れているのが見つかった高齢の女性1人の死亡が確認されたということです。この事件で亡くなった人は4人になりました。

26日 05:20時点 1人意識不明の状態

警察によりますと、現場近くで1人が倒れているのが見つかり、意識不明の状態だということです。

26日 04:30すぎ 男の身柄確保

警察は現場から半径およそ300メートルの範囲を避難区域にしたうえで、警戒を続けていました。

警察によりますと、男は午前2時ごろには建物から庭に出てくるなどしていたということです。

その後、住宅の周りでは警察官が現場の様子を伺うなどしていましたが、半日がたった午前4時半すぎ、男が住宅から出てきたところを確保したということです。

警察が男を確保した午前4時37分の2分ほど前、NHKの映像では立てこもっていた住宅で扉が開いたように見え、犬の近くに黒っぽい人影が確認できます。この人物はそのあと、画面の右側へ歩いて行くようすが確認できました。

26日 03:45時点 警視庁「特殊班捜査係」を派遣

捜査関係者によりますと、長野県警側の要請を受け、警視庁は捜査1課で立てこもり事件などの対応を専門とする「特殊班捜査係」を現地に派遣したということです。

26日 0:10ごろ もう1人の女性を保護

警察によりますと26日午前0時10分ごろ、住宅の中に残っていたもう1人の女性が逃げ出し、警察が保護したということです。

26日 0:10時点 立てこもりは市議会議長の息子か

警察によりますと男が立てこもっているのは中野市議会の議長の自宅だということです。また、立てこもっている男は議長の息子とみられるということで確認を進めています。

26日 0:00時点 保護された女性「立てこもりは自分の息子」

警察によりますと、現場の住宅から逃げ出し保護された女性は「立てこもっているのは自分の息子だ」と話しているということで、警察が詳しい状況を調べています。

25日 23:30時点 住宅にはほかにも人か

警察によりますと男が立てこもっている住宅にはほかにもまだ人がいるとみられるということで警察が確認を進めています。

25日 20:30ごろ 住宅から逃げ出した女性を保護

長野県中野市で男が猟銃のようなものを発砲するなどして住宅に立てこもっている事件で、警察によりますと25日午後8時半ごろ、住宅の中に残っていた女性が逃げ出し、警察が保護したということです。

25日 22:00時点 中学校に60人ほどが避難

事件を受けて、現場から北東におよそ1キロ離れた中野平中学校の体育館には避難所が設けられています。

25日午後7時に開設され、午後10時時点で警察からの避難の呼びかけに応じた現場周辺の人などおよそ60人が避難しているということです。避難所には、寝泊まりできるようにテントが設置されているほか、非常食や水が備えられているということです。

現場から500メートルほど離れたところに住む女性は、「警察が1軒1軒回って『避難してください』と呼びかけていたので避難してきました」と話していました。

25日 20:10すぎ 現場近くで再び発砲音のような音

25日午後8時10分すぎ、現場近くで再び発砲音のような音が聞こえたということで、警察が確認を進めています。

25日 19:50ごろ 現場近くで発砲音のような音

25日午後7時50分ごろ、現場近くで発砲音のような音が聞こえたという情報があり、警察が確認を進めています。警察は周辺住民に屋外に出ないように注意を呼びかけています。

25日 16:26ごろ 「男が女性を刺した」と110番通報

25日午後4時26分ごろ、中野市江部で「男が女性を刺した」と110番通報があり、警察が現場に駆けつけました。

すると、迷彩服を着た男が警察官2人に向けて猟銃のようなものを発砲しました。

【目撃した人は 現場付近での対応は】

迷彩服姿の男「殺したいから殺してやった」

長野県中野市の畑で犯行の様子を目撃したという近所に住む72歳の男性によりますと、午後4時すぎに妻と2人で畑仕事をしていたときに女性が「おじさん、助けて」と言いながら走って逃げてきたということです。女性の後ろからは、長さが数十センチあるナイフを持った迷彩服姿の30歳前後とみられる男が追いかけてきて、女性に追いつくと背中を刺し、女性があおむけに倒れると上から胸を刺したということです。

男性が男に対し、「なんでこんなことをするんだ」と言ったところ、男は「殺したいから殺してやった」と言って、現場を歩いて離れたということです。

その後、男性が警察に通報をしてパトカーが駆けつけると、再び男が猟銃のようなものを持って現れ、パトカーの運転席の窓ガラスに銃口をあてて2発、撃ったということです。パトカーには警察官が2人乗っていたということですが、撃たれたあと警察官に動きは見られず、その後、男は北の方角へ逃げたということです。

男性は「なんでこんな田舎でこのような事件が起きたのか、ショックが大きいです。警察には、一刻も早く犯人を捕まえてほしい」と話していました。

避難した人「夜は一睡もできなかった」

事件現場近くの住民の避難所になった中野平中学校では、不安な一夜を過ごした住民から安堵の声が聞かれました。
70代の男性は「ひと安心しました。自分たちの身に危険が降りかかるかと思い怖かったです。早く犯人が捕まってほしいと願って過ごしていました」と話していました。
また、50代の男性は、「自分の家の近くでこのような事件が起きて、痛ましく、残念です。夜は一睡もできませんでしたがとりあえずほっとしています」と話していました。

市教委 通常どおり授業へ

中野市教育委員会は、立てこもっていた男の身柄が確保されたため、休校を検討していた現場近くの3校でほぼ通常どおりに授業を行うことを決めました。

近くの住民の避難所となった中野平中学校は3時間目の授業から開始します。平野小学校と高丘小学校は通常どおり1時間目から授業を行います。

“散弾銃の発砲事件が発生している 外に出ないで” 呼びかけも

現場近くの店舗の従業員は「『散弾銃の発砲事件が発生しているので外に出ないように』という防災無線の放送が流れた。救急車やパトカーの音が聞こえた」と話していました。

現場付近を「避難区域」に

警察によりますと、事件を受けて発生現場を中心に半径およそ300メートルの範囲を「避難区域」にしたということです。また、県道403号線は、江部信号交差点から砂山信号交差点の間を、県道29号線は江部信号交差点から安源寺信号交差点の間を全面的に通行止めにしているということです。

現場は

現場は、長野電鉄長野線の信州中野駅から南西に2キロほど離れた場所です。付近の道沿いには住宅や飲食店などが数多く建ちならぶほか、近くには消防署や保育園もあります。

NHKのカメラが撮影した映像では、建物の前にパトカーなどの複数の捜査車両が止まり、警察官が周辺を警戒しながら歩いています。ヘルメットとフェースシールドをかぶった捜査員も見られます。また近づいてきた人に対し警察官が近づかないように呼びかけている様子もみられます。
午後6時ごろ現場周辺に住む視聴者が撮影した映像です。防弾チョッキを着た警察官とみられる複数の人が、白い盾のようなものを持って集まっている様子が確認できます。近くには救急車1台が待機しているのもわかります。

専門家「動機の解明がポイント」

今回の事件について、危機管理などに詳しい公共政策調査会の板橋功研究センター長は「容疑者が確保されたことで地域の方々は少し安心できたと思うが、まだ分からない点も多く全体像は見えていない。2人の警察官を含む4人が殺害された事件であり、しかも、警察官に対しては、通報を受けて駆けつけパトカーに乗っているところを発砲している点などからも、かなり凶悪な事件だという印象を受ける」と話しています。

その上で、今後の捜査の焦点について、「容疑者がなぜこのような事件を起こしたのか、まずは動機の解明がポイントになる。また、本来は厳しい管理が求められるはずの猟銃が事件に使われたとするなら、その入手や所持の詳しい経緯を明らかにすることも重要だ」と指摘しています。