社会保険料への上乗せ 月額最大で470円の試算 少子化対策強化

少子化対策の強化に充てる年間3兆円程度の新たな予算の財源のうち、政府はおよそ1兆円を社会保険料への上乗せで確保する方向で調整していて、加入者1人当たりの負担を試算したところ、月額で最大470円になるということです。

少子化対策を今後3年間で集中的に強化するため、政府は、年間3兆円程度の新たな予算を見込んでいて、このうち2兆円ほどは、医療や介護といった社会保障費の歳出改革に加え、既存予算の活用で捻出する方針です。

残りのおよそ1兆円は、社会保険料に、子育てへの「新たな支援金」として、医療保険の仕組みを活用して上乗せして確保する方向で調整が進められていて、政府は、加入者1人当たりの負担額を試算しました。

それによりますと、1兆円程度を確保する場合は月額で
▽大企業の従業員が加入する健康保険組合は470円
▽中小企業の従業員が加入する「協会けんぽ」は400円
▽自営業者などが加入する国民健康保険は370円
▽75歳以上が加入する後期高齢者医療制度は340円となっています。

社会保障費の歳出改革をさらに進めて、確保する額が9000億円程度となった場合は
▽健康保険組合は440円
▽「協会けんぽ」は380円
▽国民健康保険は340円
▽後期高齢者医療制度は320円となっています。

健康保険組合と「協会けんぽ」は、加入者のほかに事業主にも負担を求めることにしていて、上乗せの開始時期は、2026年度以降を想定しています。

政府は、今後、具体的な制度の検討を行うとともに、負担増となる組合などとの調整を進めることにしています。

松野官房長官「国民の実質的な負担 最大限抑制していく」

松野官房長官は、午後の記者会見で「財源確保にあたっては国民的な理解が重要であり、歳出改革の取り組みを徹底するほか、既定予算の最大限の活用を行うなどして国民の実質的な負担を最大限抑制していく」と述べました。

その上で「こうした方向性に基づき、6月の『骨太の方針』までに、次元の異なる少子化対策を実行に移していくための『こども未来戦略方針』を取りまとめ、国民に示したい」と述べました。