“建築を文化に” 法整備の必要性などの報告書案 文化庁検討会

名建築とされる建物が老朽化などで取り壊されるケースが相次いでいることから、すぐれた建築物を守ろうと、文化庁の検討会は、建築を文化として振興するための法整備の必要性などを盛り込んだ報告書の案を取りまとめました。

文化庁が開いているこの検討会は、建築関係者や研究者などで作るもので、25日、日本芸術院会館で開かれた会合には、建築家、隈研吾さんなど7人の委員が出席しました。

文化庁によりますと、この数年、築50年程度の名建築が、老朽化や耐震性の問題などから全国で相次いで取り壊されているということで、こうした建築物の保護が課題となっています。

25日は、これまでの検討会での議論を踏まえて、報告書の案が示されました。

この中では、国が取り組むべき対策として、
▽建築を文化芸術のひとつとして振興するための法整備や、
▽すぐれた建築物がむやみに取り壊されるのを防ぐための相続税や固定資産税の優遇措置などが盛り込まれました。

これについて委員からは、「すぐれた建築物」の定義を明確にするべきなどの意見が出されましたが、報告書案は大筋で了承されました。

文化庁は、来月中にも最終的な報告書を公表するということです。

座長を務めた学校法人工学院大学の後藤治理事長は「誰もが自分の住む地域の建築や文化に誇りを持てるよう取り組んでいくことが大事だ」と話していました。