「KAGRA」3年ぶりに観測再開 「重力波」を捉えられるか注目

ブラックホールの合体などで生じる時空のゆがみ「重力波」を観測する施設「KAGRA」。岐阜県飛騨市にあるこの施設で25日、3年ぶりに観測が再開されました。今後、「重力波」を捉えられるか注目されます。

「KAGRA」は東京大学が中心となり2019年に飛騨市の鉱山の地下に建設した大型観測施設で、巨大な質量を持つブラックホールや中性子星といった天体が合体する際などに生じるわずかな時空のゆがみ「重力波」を捉え、さまざまな元素が宇宙にもたらされた起源の解明などを目指しています。

その「KAGRA」による観測が25日午前0時、3年ぶりに再開されました。

「KAGRA」の制御やモニタリングを行う部屋では、24日、観測再開を前に感度の確認や最終調整などの準備が進められていました。

「KAGRA」は、2020年に初めて観測を行いましたが、これまで十分に感度を高められず、「重力波」は捉えられていません。

その理由について東京大学は、新型コロナウイルスの影響で装置の調整や観測が十分に行えなかったとしていて、こうした事情を考慮され、当初昨年度までだった国の大型プロジェクトとしての期間は来年度まで2年間の延長が認められています。

今回の観測は、「重力波」を捉えた実績のある海外の施設と共同で、断続的に1年半かけて行われ、来年春には感度をこれまでの10倍に高め、「重力波」の検出を目指すとしています。

施設長の大橋正健教授は「国際的な重力波天文学の発展に貢献できる一歩だと思っている。今後は改良を重ねながら重力波を観測することを目指したい」と話していました。