【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(25日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる25日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア ベラルーシへの戦術核兵器配備に関する合意文書に署名

ロシアは、同盟関係にあるベラルーシへの戦術核兵器の配備に関する合意文書をベラルーシ側と交わしたと発表しました。

ロシアのショイグ国防相は、国境で高まる脅威に対抗する措置だと主張し、ウクライナへの軍事支援を強化する欧米を強くけん制した形です。

ロシア国防省は25日、ショイグ国防相が、同盟関係にある隣国ベラルーシの首都ミンスクでフレニン国防相と会談し、ロシアが戦術核兵器をベラルーシ領内に配備する合意文書に署名したと発表しました。

ショイグ国防相は「両国の国境における脅威が急激に高まっている中で、対抗措置をとらざるを得ない。最高司令官の決定に従って配備に向けた作業を進める」と述べました。

一方、ショイグ国防相は「ロシアがベラルーシに核兵器を引き渡すことはない。核兵器の管理や使用については今後もロシアが決定する」と述べ、特別な保管施設で管理するとして「国際法を順守したものだ」と主張しました。

ロシアのプーチン大統領はことし3月、戦術核兵器をベラルーシに配備すると表明し、ことし7月1日までに保管施設を建設すると発表していました。

ロシアの軍事侵攻が続くウクライナへの軍事支援を強化する欧米を強くけん制した形で、今後、欧米からの非難も予想されます。

ゼレンスキー大統領 ロシアの無人機攻撃 “すべて迎撃した”

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍が36機の無人機で攻撃を仕掛けたものの、すべて迎撃したと強調しました。

一方、東部の激戦地バフムトを掌握したと主張するロシアの民間軍事会社は、部隊を後方に移し始めたと表明しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、SNSに「厳しい夜だった。敵は36機の無人機を使い、ウクライナを脅し続けた。しかし1機も標的に到達しなかった」と投稿し、ロシア軍が無人機による攻撃を仕掛けたものの、すべて迎撃したと強調しました。

これに関連して首都キーウの当局は「今月で12回目の首都攻撃だ。敵は間隔をあけて複数の波状攻撃を仕掛けた」とSNSで明らかにしました。

また、ウクライナ空軍は、無人機は北と南の方角から発射され、重要インフラや軍事施設が標的となった可能性があるという見方を示しています。

ゼレンスキー大統領は24日に公開した動画で、ロシアがイラン製の無人機で攻撃を繰り返しているとした上で「あなたがたは、なぜ悪の国家の側にいるのか」と述べ、イランに対して無人機の供与をやめるよう訴えました。

一方、ウクライナ東部の激戦地バフムトをめぐり、多くの戦闘員を投入していたロシアの民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏は25日、SNSに動画を投稿し、部隊を後方に移し始めたと表明しました。

プリゴジン氏はバフムトを掌握したと主張し、来月1日までに部隊の大部分を後方に移して、支配地域を正規軍に引き渡すとしています。

ただ、ウクライナのマリャル国防次官が24日「われわれは徐々に前進している。街の南西部にある地区をおさえている」とSNSに投稿するなど、一部では依然として攻防が続いているものとみられます。

ゼレンスキー大統領「F16戦闘機はロシア敗北の強いシグナルに」

ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、欧米各国が相次いで支援を表明しているF16戦闘機について「ロシアが敗北するという強いシグナルになる」などと述べ、パイロットの訓練などの準備を進めていく姿勢を強調しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は24日に公開した動画で欧米各国が相次いで支援を表明しているF16戦闘機について触れ「防衛力が向上することは明らかだ」と述べました。

その上で「F16戦闘機はロシアが敗北し、弱体化し、孤立するという世界からの強いシグナルになる」と述べ、パイロットの訓練などの準備を進めていく姿勢を強調しました。

一方、アフリカを訪問しているウクライナのクレバ外相は、24日、訪問先のエチオピアでAU=アフリカ連合のアザリ・アスマニ議長らと会談しました。

クレバ外相は会見で「アフリカやアジアのパンの価格はウクライナから年にどれほど穀物が輸出できるかという単純な事実に左右される」と述べ、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が各国の食料事情に深刻な影響を及ぼしていると訴えました。

その上で「互いの重要性を再認識するためにも関係の強化が必要だ」と強調しウクライナとしても「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国や途上国との結びつきを強めていく考えを強調しました。

プーチン大統領 旧ソビエトの首脳を集めた国際会議を開催

ロシアのプーチン政権は、旧ソビエトの首脳たちを集めた国際会議をモスクワで開催し、結束を強調したほか、首相が中国を訪問して習近平国家主席と会談するなど友好国との連携強化で欧米側に対抗する姿勢を一段と強めています。

ロシアが主導する旧ソビエトの5か国が加盟するユーラシア経済同盟の会合が24日、首都モスクワで始まり、プーチン大統領が演説しました。

このなかで、プーチン大統領は「一部の専門家はロシアの経済が崩壊することを予想したが、それは起きず、今後も明らかに起こらない」と述べ、欧米側がロシアに対して経済制裁を強化する中、強気の姿勢を示しました。

会合には同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領のほか、中央アジアのカザフスタンやキルギスの首脳らが出席し、プーチン大統領としては旧ソビエト諸国の結束を強調した形です。

ロシアの首相 北京で習近平国家主席と会談

中国の北京を訪れていたロシアのミシュスチン首相が24日、中国の習近平国家主席と会談し、ミシュスチン首相は、「世界的な支配を維持し、その考えを各国に押しつけるために違法な制裁を利用する西側諸国の企てに私たちはともに立ち向かっている」と述べました。

欧米側はG7広島サミットなどでウクライナに対する軍事支援などで結束を示していて、これに対してロシアは友好国と連携を強化することで、欧米側に対抗する姿勢を一段と強めています。

「ロシア義勇軍」の司令官が記者会見

ロシア西部のベルゴロド州に侵入し、ウクライナ側に立って戦闘を行っていると主張している「ロシア義勇軍」の司令官が24日、記者会見を行い、ロシア領内に再び侵入すると強調しました。

記者会見は、ロシアとの国境近くのウクライナ北部で行われ、司令官は「ロシア義勇軍」がロシア領内に入り、およそ42平方キロメートルを一時的に支配したとした上で「作戦は進行中で第1段階は成功だった。兵器を奪い、捕虜をとった」と主張しました。

そしてロシア軍から奪ったとする装甲車を披露し戦果を誇りました。

また、ロシア国防省が「70人以上のテロリストを殺害した」としているのに対し負傷者は2人だけだったとしています。

その上で「数日待てば、またわれわれの姿をあちら側で目にするだろう」と述べ、今後もロシア領内で襲撃を行うとしています。

ロシア国防相「ウクライナの民族主義者の部隊がロシア領に侵入」

ロシアのショイグ国防相は24日国防省で行った会議で「ウクライナの民族主義者の部隊がロシア領に侵入した。民族主義者をウクライナ領まで押し戻し、完全に排除するまで攻撃し、70人以上のテロリストを殺害した」と述べました。

そのうえで「ウクライナの武装勢力によるこうした行動に対して、迅速かつ厳しく対応していく」と強調しました。

また、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「ロシア軍の部隊や国境警備隊は自分たちの仕事に取り組んでいる」と述べ、軍などが適切に対応しているとして懸念の払しょくにつとめています。

ロシア国防省「ロシア黒海艦隊にウクライナ軍が攻撃」

ロシア国防省の報道官は24日「黒海のボスポラス海峡から北東140キロの地点で、ロシア黒海艦隊の艦船に対し、ウクライナ軍の3隻の無人水上艇が攻撃を仕掛けてきたがこれを破壊した」と発表し、映像を公開しました。

国防省は、ロシア軍の艦船は、ロシアの天然ガスをトルコへ送るためのパイプラインを守る任務についていたとしていて、攻撃があったのはトルコのEEZ=排他的経済水域内だと主張し、ウクライナ側を非難しています。

黒海はウクライナ産の農産物を輸出するための主要な輸送ルートにもなっていて、ロシアはウクライナと輸出の枠組み延長で今月、合意したばかりですが今後、農産物輸出の交渉への影響も懸念されます。