【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(24日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる24日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 途上国や新興国と連携強化図る姿勢強調

プーチン大統領は24日、モスクワで開催している安全保障関係の国際会議で行ったビデオ演説で「多くの国が、外部によって組織されたクーデターを経験している。他国の主権や国益を無視し、自国の優位性を維持しようとする国々の願望と直接関係している」と述べ、欧米などを念頭に批判しました。

そのうえで「われわれはアジア、アフリカ、ラテンアメリカとの友好的で信頼できる関係を大切にしていく」と述べ、途上国や新興国と連携強化を図る姿勢を強調しました。

プーチン大統領は、この後、同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領とも会談する予定で、ウクライナへの侵攻から24日で1年3か月となる中、友好国と結束し、欧米側に対抗する姿勢を一段と強めています。

中ロ首相が会談 さらなる連携強化をアピール

ロシア政府によりますと、23日から中国を公式訪問しているミシュスチン首相は24日、北京で李強首相と会談しました。

この中でミシュスチン首相は「両国の関係はかつてないほど高いレベルにある」と強調しました。

さらに「これは、西側諸国からの違法な制裁圧力によってもたらされる新たな課題にともに対処しようという意欲の表れだ。中国の友人たちがいうように『団結は山をも動かす』ということだ」と述べ、中国とともに欧米各国に対抗していく姿勢を改めて示しました。

また、ロシアの国営通信社によりますと、李首相は「中国はロシアと協力して両首脳の合意を実行し、実務的な協力をさらに推進することを望む」と述べ、一層の連携強化に意欲を示したということです。

ミシュスチン首相は、習近平国家主席とも会談する予定で、中ロ両国としては連携のさらなる強化をアピールすることで、G7広島サミットで両国への厳しい姿勢で結束を示したG7各国をはじめ欧米側をけん制するねらいもあるとみられます。

自衛隊 100台規模でウクライナへ車両提供 防衛省で引き渡し式

ウクライナへの支援として、陸上自衛隊が保有するトラックなどが100台規模で提供されることになり、防衛省で引き渡し式が行われました。

井野防衛副大臣が、提供する資材の目録をウクライナのコルスンスキー駐日大使に手渡し「いずれの車両もこれまで自衛隊の任務で活躍してきた車両だ。全国の陸上自衛隊から協力を受け、逐次ウクライナに向けて輸送していく」と述べたのに対し、コルスンスキー駐日大使は「心からお礼を申し上げる。日本はウクライナにとって信頼できる非常に重要なパートナーだ」と謝意を述べました。

岸田総理大臣は今月21日にウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、追加の支援として、自衛隊が保有する10人乗りのトラック「高機動車」やがれき処理の対応にあたる「資材運搬車」などおよそ100台と、非常食およそ3万食を提供する方針を伝えていました。

ロシア当局 ロシア西部での戦闘をテロ事件と断定

ロシア西部のウクライナと国境を接するベルゴロド州の州知事は22日、州内に侵入したウクライナの工作員との間で戦闘が起き、男女2人が死亡したと発表しました。

この戦闘をめぐっては、ロシアによる軍事侵攻に反対しウクライナ側に立つロシア人などの義勇兵を名乗る「自由ロシア軍」と「ロシア義勇軍」の2つの組織が、関与を主張しています。

ロシアの捜査当局はテロ事件と断定し、ロシア国防省が「70人以上のテロリストを殺害した」と主張しているほか、国営のタス通信は、今週開かれる安全保障会議でも議題とされる可能性を伝え、プーチン政権が事態を深刻に受け止めているものとみられます。

ロシア スパイ活動で起訴の米有力紙記者 8月末まで拘束決定

ロシアでスパイ活動を行っていたとして当局に起訴された、アメリカの有力紙のアメリカ国籍の記者に対して、ロシアの裁判所は期間を延長して8月末まで身柄を拘束する決定をくだし、一層拘束が長期化するおそれが出ています。

アメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記者でアメリカ国籍のエバン・ゲルシュコビッチ氏はことし3月、ロシア国内でスパイ活動を行っていたとして当局に逮捕され、その後、起訴されました。

ゲルシュコビッチ氏は「ジャーナリストの活動をしていただけだ」として、全面的に否認しているということです。

ロシアの国営通信社によりますとモスクワの裁判所は23日、およそ3か月、勾留を延長するとして、8月30日までゲルシュコビッチ氏の身柄を拘束する決定をくだし、一層拘束が長期化するおそれが出ています。

ロシアでは、スパイ活動の罪で有罪となった場合、最長で禁錮20年が科される可能性があり、アメリカ政府は繰り返し、即時釈放を求めていますが、ロシア側は応じていません。

ロシア外務省は今月19日、アメリカの制裁に対する報復措置を発表した声明の中で、ゲルシュコビッチ氏についても言及し、モスクワのアメリカ大使館が求めている面会を重ねて拒否したと説明していて、アメリカとの対立をさらに深めています。

プーチン大統領 ウクライナ侵攻を改めて正当化

プーチン大統領は23日、モスクワで演説し「ロシアが戦争を始めたと言われるが、われわれや、歴史的に国境の外に追いやられた人々に対する戦争を、特別軍事作戦によって終わらせようとしている」と持論を展開し、ウクライナ侵攻を改めて正当化しました。

ロシア報道官 西部の戦闘「深く憂慮」

ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州の州知事は22日、州内に侵入したウクライナの工作員による攻撃を受けて戦闘が起き、複数の人がけがをしたほか、女性1人が避難中に死亡したと発表しました。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は23日、記者団に「深く憂慮している」と述べたほか、国営のタス通信はペスコフ氏の話として、今週開かれる安全保障会議で今回の事案が議題となる可能性を伝え、プーチン政権が事態を深刻に受け止めているものとみられます。

これに対してウクライナ政府は関与を否定していて、マリャル国防次官は23日、地元メディアに対して「プーチン政権に反旗を翻したロシアの愛国者によるものだ。誰もがロシアの体制を転換させる必要があることを理解している」と述べました。

EU上級代表 “ウクライナ軍 F16戦闘機訓練 複数の国で開始”

ベルギーで23日、EU加盟国の国防相が会合を開き、ウクライナへの支援などについて協議しました。

会合に先立って記者団の取材に応じたEUのボレル上級代表は「ついに複数の国でF16戦闘機のパイロットの訓練が始まってうれしく思う。時間はかかるが早ければ早いほどいい」と述べました。

そして具体的にどの国で始まったのか問われるとポーランドを挙げました。

また、会合に出席したポーランドの副首相は「われわれは訓練の準備ができている」と述べました。

一方、オランダのオロングレン国防相は訓練の開始に向けてデンマークやベルギー、それにイギリスなどと協議しているとして、早期の開始に意欲を示したうえで「これは最初のステップだ。まずは戦闘機を操縦できるパイロットが必要で、次のステップは戦闘機そのものだ。F16戦闘機を供与しうる各国と協議を行っていく」と述べ戦闘機そのものの供与についても前向きな姿勢を示しました。

ロシアが米をけん制 同盟国 ウクライナへのF16戦闘機供与容認で

アメリカが同盟国によるF16戦闘機のウクライナへの供与を容認したことについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は23日「より高度な種類の兵器がウクライナに供与されているがこれによって最前線の状況を劇的に変えることはできない」と述べ、けん制しました。

メドベージェフ氏 核戦力に言及しけん制

強硬発言を繰り返す、前の大統領で安全保障会議のメドベージェフ副議長は訪問先のラオスで記者団に対し「より多くの兵器が送られたらそれだけ世界は危険になる。兵器がより破壊的であれば、それだけ核の黙示録による終末を迎える可能性が高くなる」と述べ、核戦力に言及し欧米側をけん制しました。

一方、メドベージェフ氏はロシア西部のベルゴロド州で起きた戦闘について「卑劣な凶悪犯はネズミのように滅ぼさなければならない。責任はウクライナ政府にあり、最終的にはアメリカなど欧米側にある」と非難しました。

ウクライナ軍幹部 “ロシア領内戦闘 加わっていない”

ウクライナ側に立って戦うロシア人などの義勇兵だとする組織がロシア領内に入り、戦闘を行っていると主張していることについてウクライナ軍の幹部はNHKの取材に対し、この組織と協力関係にあるとしながらも「ウクライナはロシアの土地を求めてはいない」と述べ、ウクライナ軍は、今回の戦闘には加わっていないと強調しました。