防衛費増額の財源確保の法案 衆院本会議で賛成多数で可決

防衛費増額の財源確保に向けて、税金以外の収入を活用する「防衛力強化資金」の創設を盛り込んだ法案が、23日の衆議院本会議で自民・公明両党などの賛成多数で可決されました。

この法案は、防衛費増額の財源確保に向けて、歳出改革や決算剰余金、それに国有財産の売却など、税金以外の収入を複数年度にわたって活用できるようにするため、一般会計に「防衛力強化資金」を創設することが盛り込まれています。

23日の衆議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党などの賛成多数で可決されました。

採決に先立って行われた討論で、立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党は、法案では、歳出改革による財源の捻出が担保されておらず、決算剰余金についても見積もりがあいまいだ、などとして反対しました。

また、政府・与党は、不足する財源を確保するため、所得税の納税額に1%の新たな付加税を課す方針です。

一方で、東日本大震災からの復興予算に充てる「復興特別所得税」の税率を1%引き下げた上で課税期間を延長するとしていますが、これに対しても、野党側は「復興特別所得税の転用だ」などと批判しています。

与党側はこの法案を重要法案の1つと位置づけて、今の国会で確実に成立させたい考えですが、野党各党は一致して反対していて、今後の参議院の審議でも、十分な審議時間を求めていく考えです。

自民 萩生田政調会長「1日も早い成立を目指す」

自民党の萩生田政務調査会長は、与党政策責任者会議のあと、記者団に対し「法律に基づき、きちんと財源を確保していこうという姿勢は極めて大事だ。1日も早い成立を目指していく」と述べました。

また、公明党の高木政務調査会長は「参議院での審議も通じて、さらに国民にしっかりと理解をいただくよう努力していきたい」と述べました。

立民 安住国対委員長「参院でも野党が一致して反対し廃案に」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、党の会合で「国会の会期末まで1か月を切ったところで参議院に法案を送るのは、野党が全員反対だったことが大きい。参議院でも野党が一致して反対し、廃案に持っていきたい」と述べました。

その上で、岸田内閣に対する不信任決議案を提出する可能性をめぐり「会期末の話は、頭にイメージもなく、全く白紙だ」と述べました。