ウクライナ情報機関トップ “大規模反転攻勢 まもなく始まる”

ウクライナ国防省の情報部門のトップがNHKの単独インタビューに応じ大規模な反転攻勢について、最小限の兵器などで近く始めることができるという認識を示しました。ただ、反転攻勢では激しい戦闘が長期にわたる可能性を示唆し「作戦の継続にはかなりの備蓄が必要だ」としてゼレンスキー大統領が参加したG7広島サミットをきっかけに欧米側による兵器の供与がどこまで進むのか注視する考えを示しました。

ウクライナ国防省情報総局のブダノフ局長が今月19日、日本のメディアとしては初めてNHKの単独インタビューに応じました。

このなかでブダノフ局長は、準備を進めているロシア側に対する大規模な反転攻勢について「多くの市民がいまもロシアの占領下にあり、もう時間を無駄にすることはできない。最小限の兵器などはすでにそろっている。まもなく始まるということだけは言える」と述べ、反転攻勢を近く始めることができるという認識を示しました。

ただ、ブダノフ局長は「私たちの領土からロシアを追い出さなければならない。この目標のためにあらゆる力と手段を使うのだ。作戦をうまく継続していくためには兵器も弾薬もかなりの備蓄が必要だ」と述べ反転攻勢ではロシア側の防御などを受けて激しい戦闘が長期にわたる可能性を示唆しました。

そのうえで、ゼレンスキー大統領がG7広島サミットに対面で参加したことに関連して「もっと兵器が必要だ。戦闘機がいる。国際社会がウクライナを本当に支援する準備ができていることを望む」と述べ、反転攻勢をどう進めていくかを検討する上でもサミットをきっかけに欧米側による兵器の供与がどこまで進むのか注視する考えを示しました。

「ロシアの攻撃の90%を阻止」

さらに、ブダノフ局長はウクライナに対するロシア側の攻撃について「編成中の部隊や、兵站などを攻撃することで、われわれの反転攻勢に向けた準備を妨げようとしている」と分析しましたが「いまや軍事目標に対する攻撃の90%が阻止されている」と述べ防空システムなどで迎撃できていると強調しました。

また「ロシア軍では、たとえば潜水艦などの技師として働いていた人が機関銃を渡されて『襲撃してこい』と言われるというのが現実だ。非常に多くのロシア軍兵士が複合的な要素から士気を欠いている。ウクライナで何をしているのか。誰も理解していない」と述べました。

「ワグネルは影響力が失われること恐れた」

ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏とロシア国防省などとの確執が表面化していると指摘されることについてブダノフ局長は「ワグネルは、権力と影響力が失われつつあることを恐れた。プリゴジン氏にとっては自身の権力や命、会社の生き残りをかけた戦いだ」と述べロシア側の政治的な混乱は続くという見通しを示しました。

一方、ロシアと経済だけでなく軍事的な連携も深める中国について、ブダノフ局長は「中国はロシアに兵器などを供給していない」と述べ、軍事支援については否定しました。ただ「多くの電子機器は供給している」と述べ中国からロシアに輸出された電子部品などがミサイルの開発に使われているという見方を示しました。