岸田首相 “サミットの成果もとに今後も外交課題に取り組む”

21日に閉幕したG7広島サミットについて、岸田総理大臣は法の支配に基づく国際秩序の重要性を世界に発信し、核軍縮に関する初めての声明をまとめるなど、大きな意義があったと強調し、一連の成果をもとに今後も外交課題に取り組む決意を示しました。

サミットの閉幕を受けて、岸田総理大臣は22日、総理大臣官邸で記者団の取材に応じました。

この中で岸田総理大臣は「今回のサミットは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持していく大切さを世界に向けてメッセージとして発出すること、グローバル・サウスとの関与を深めることの2つをねらいとして掲げ、果たすことができたと総括している」と述べました。

また「世界の政治のリーダーに被爆の実相に触れてもらうことでも大きな成果をあげることができた。G7としては歴史上初めて単独の核軍縮に関する『広島ビジョン』を発出したが、今後は、この中でも高く評価された核廃絶に向けた日本の行動計画『ヒロシマ・アクション・プラン』を実践していきたい」と述べました。

さらに「ウクライナのゼレンスキー大統領と招待国のリーダーたちを引き合わせたセッションの場で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持し、力による一方的な現状変更は認めないことなどで認識の一致が得られたことは大変大きな意義を持つものだと感じている。こうした成果をもとに、今後も一つ一つ日本の外交課題に取り組んでいきたい」と述べました。

一方、中国への対応については「主張すべきことは主張し、国際社会の責任ある一員としての行動を求め、対話を通じて協力すべきことは協力するという、建設的で安定的な関係を双方の努力で築いていかなければならないとの観点から、対話や首脳会談なども考えていきたい」と述べました。

立民 泉代表「成果文書 どう実現していくか問われる」

立憲民主党の泉代表は、記者団に対し「日本や世界にとって大きな国際会合になった。ウクライナのゼレンスキー大統領が国内で戦争を抱える中で対面で参加できたのは、とても大きなメッセージになった。日本にとっては、サミットの成果文書の中身をどう実現していくのかが問われる」と述べました。

経団連 十倉会長「脱炭素化に向けた取り組みを加速」

経団連の十倉会長は「成功裏に開催され、ウクライナのゼレンスキー大統領が急きょ参加するなど外交の妙を感じさせられるサミットだった。広島という被爆地で核兵器のない世界という理想に向けて、現実的、実践的な取り組みを進めようというビジョンが発信された点は評価したい」と述べました。

また、首脳宣言に、遅くとも2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を実現するための方針が盛り込まれたことについては「いっそう責任を負わされたと認識している。日本でも再生可能エネルギーの加速や原発の早期稼働など、これまで以上に進めないといけない」と述べ、経済界としても脱炭素化に向けた取り組みを加速させる考えを示しました。