伊豆諸島 利島で震度5弱の地震 津波なし その後も地震相次ぐ

伊豆諸島の新島・神津島近海では22日に利島で震度5弱の揺れを観測する地震が起きましたが、その後も震度4の揺れを観測するなど地震が相次いでいます。気象庁は、この地域では当分の間、強い揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。

気象庁によりますと、新島・神津島近海では22日昼前から地震が相次ぎ、午後4時42分にはマグニチュード5.3の地震が発生し伊豆諸島の利島で震度5弱、新島で震度4の揺れを観測しました。

この震度5弱の地震のあとも新島・神津島近海では地震が相次ぎ、22日夜7時46分には利島と新島で震度4の揺れを観測、23日午前4時31分には利島で震度3の揺れを観測するなど、震度1以上の地震は午前7時までに37回にのぼっています。

気象庁によりますと、新島・神津島近海は地震活動が活発で2000年や2013年にもマグニチュード5から6の地震が相次いで起きています。

大きな地震が起きてしばらくたってから同じ程度の地震が発生したこともあるとして、気象庁は当分の間、強い揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。

長周期地震動の「階級1」観測

この地震で、長くゆっくりとした揺れ、長周期地震動の階級1が観測されました。
4つの階級のうち最も小さい「階級1」の揺れを、伊豆諸島の▽利島と、▽新島で観測しました。

気象庁によりますと、長周期地震動は規模の大きな地震で発生する周期が2秒を超えるような大きくゆっくりとした揺れで、特に高層ビルなどで影響が出ます。

気象庁は階級1の揺れは「やや大きな揺れ」で、高い建物の室内にいるほとんどの人が感じ、ブラインドなどのつり下げたものが大きく揺れるとしています。

17:27ごろ 最大震度3の地震

また、22日午後5時27分ごろにも地震がありました。この地震による津波の心配はありません。

震源地は新島・神津島近海で震源の深さは10キロ、地震の規模を示すマグニチュードは3.6と推定されます。

各市町村の震度は以下のとおりです。
震度3 東京都利島
震度2 東京都新島

19:46ごろ 最大震度4の地震 長周期地震動「階級1」も観測

また午後7時46分ごろにも地震がありました。震源地は新島・神津島近海で震源の深さは10キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5.1と推定されます。
各市町村の震度は以下のとおりです。
震度4 東京都 利島、東京都 新島

この地震で、長くゆっくりとした揺れ、長周期地震動の階級1が観測されました。4つの階級のうち最も小さい「階級1」の揺れを伊豆諸島の利島と、新島でで観測しました。

利島で震度5弱 2020年12月以来

気象庁によりますと、東京・利島で震度5弱の揺れを観測したのは3年前の2020年12月18日に発生した新島・神津島近海を震源とするマグニチュード5.0の地震以来です。

利島管轄の大島警察署「地震による被害の情報なし」

震度5弱の揺れを観測した東京の利島を管轄する警視庁大島警察署によりますと、午後5時の時点で地震による被害の情報は入っていないということです。現在、利島の駐在所の警察官が島内を巡回して状況の確認を進めています。

また、震度4の揺れを観測した新島にある警視庁新島警察署によりますと、これまでのところ被害の情報は入っていないということで、引き続き状況の確認を進めています。

警察署にいた警察官は「下から突き上げるような縦揺れがあった。物が落ちるようなことはなかった」と話しています。

新島村役場「下から突き上げるような揺れ」

新島村役場の総務課の職員は、「下から突き上げるようなどんという揺れが来た。庁舎内はいまのところものが落ちるなどの被害はなかった」と話していました。

村によりますと、島内に被害がないか確認中だということです。

専門家「ふだんから地震多い領域 非常に注意する必要」

伊豆諸島の利島で震度5弱を観測した今回の地震について、東京大学地震研究所の古村孝志教授は「伊豆諸島近海はふだんから地震が多い領域で、いったん地震が起きると長い間、続くという特徴があるため非常に注意する必要がある。今回の地震の規模はマグニチュード5クラスとそれほど大きくないが、震源が浅いため震源に近い島で大きな揺れを観測した」と話しました。

そのうえで「今回地震が起きた場所は2020年や2018年にも地震が続いているほか、それより前の2000年には6月から8月にかけて3か月もの間、揺れを感じる地震が続いた。今回よりもっと規模が大きな震度5強や6弱の揺れを観測したこともある。揺れが小さくても地震が繰り返し続くと崖崩れや落石による被害などが起きるおそれがあるため、今後の地震活動に注意し、急な斜面など危険な場所には絶対に近づかないでほしい」と話しています。

政府 情報連絡室を設置

今回の地震を受けて、政府は午後4時44分に総理大臣官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置し、被害の確認などにあたっています。

東京都は情報連絡態勢 「午後6時現在 被害の情報なし」

利島で震度5弱の揺れが観測されたことなどを受け、東京都は情報連絡態勢を取り、被害がないか確認していますが、午後6時現在、被害の情報は入っていないということです。

利島村 揺れの様子は

震度5弱の揺れを観測した東京・伊豆諸島の利島は、JR東京駅から南におよそ140キロ離れた離島で、利島村のホームページによりますと、300人ほどが住んでいます。

カラオケ店を経営する70代の男性は「お墓参りをしていたときに下から突き上げるような揺れがありました。その後も数分おきに余震があります。自宅に帰ったら店内の置物5点が割れ、額縁が垂れ下がっていました」と話していました。

保育園の代表は「下からがたがたと突き上げるような揺れでした。園児がちょうど園庭で遊んでいるところで、そのまま安全を確認して過ごしました。けがをしたり、物が倒れてきたりするなどの被害はありませんでした」と話していました。

港にいた男性は「下から突き上げるような揺れを5秒ほど感じました。港には観光客が何人かいましたがけがをした人はいませんでした」と話していました。

利島農業協同組合の加藤大樹店長は「揺れの時間はあまり長くなく、棚などから品物が落ちるようなことはありませんでした。その後も地震はあったが大きな揺れではなく、いまのところ外の様子も被害はなさそうです」などと話していました。

鉄道への大きな影響なし

利島で震度5弱の揺れを観測した地震で、小田急電鉄が一時運転を見合わせましたが、現在は再開しています。

このほかの新幹線の各線や首都圏の鉄道や空港などは、おおむね平常通り運行しています。

また、震度3の揺れを観測した静岡県の東伊豆町を走る伊豆急行は、地震の発生を受けて一時、車両を減速させる対応を取りましたが、運転の見合わせなどは行わず、運行への影響はないということです。また、JRによりますと、静岡県内を走る新幹線と在来線の運行に影響はないということです。

東海汽船「最新状況はホームページなどで確認を」

利島などの伊豆諸島と東京・竹芝とを結ぶ高速船などを運航している東海汽船は現在、地震による影響の調査を行っているということです。いまのところ今後も平常通り運航する予定だとしていますが、最新の状況はホームページなどで確認してほしいとしています。

浜岡原発「地震による異常なし」

中部電力によりますと、震度2の揺れを観測した静岡県御前崎市にある浜岡原子力発電所は現在、運転を停止していて、今回の地震による異常はないということです。

また、原発周辺の放射線量を計測するモニタリングポストの値に変化はないということです。

気象庁「当分の間 強い揺れ伴う地震に注意を」

22日午後、伊豆諸島の利島で震度5弱の揺れを観測した地震について、気象庁は地殻内の浅い場所で岩盤が横にずれ動く「横ずれ」と呼ばれるタイプだとしています。

気象庁は、過去にこの地域では大きな地震が起きたあとに同じ程度の地震が発生したことがあるとして、揺れの強かった地域では、当分の間、強い揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。