G7広島サミット最終日 ゼレンスキー大統領も対面で参加

G7広島サミットは最終日の21日、ウクライナのゼレンスキー大統領も参加し、G7や招待国の首脳らによるセッションが行われます。議長国の日本は一連の討議を通じ、法の支配に基づく国際秩序を維持・強化する重要性を強く発信したい考えです。

G7広島サミットは、2日目の20日までに首脳による討議を実質的に終え、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援を強化することや、現実的なアプローチを通じて「核兵器のない世界」を目指すことなどを明記した首脳宣言を発表しました。

サミットは最終日の21日、ウクライナのゼレンスキー大統領が対面で参加し、G7首脳による「ウクライナ情勢」のセッションと、招待8か国の首脳らも加えた「平和と安定」に関するセッションが行われます。

「平和と安定」に関するセッションでは、ゼレンスキー大統領が出席している中、ウクライナ情勢をめぐって中間的な立場をとってきたインドなどの首脳がどのような反応を示すかが注目されます。

議長国の日本としては、一連の討議を通じ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化する重要性を強く発信したい考えです。

その後、岸田総理大臣はゼレンスキー大統領との個別の首脳会談に臨み、日本として復興分野を含めて今後も最大限の支援を続けていく方針を伝え、ウクライナとの揺るぎない連帯を示すことにしています。

ゼレンスキー大統領 各国首脳と相次いで会談

ロシアによる軍事侵攻が続くなか、ウクライナのゼレンスキー大統領は、G7サミットに参加するため、20日に広島に到着し、G7の4か国とEU=ヨーロッパ連合、さらに招待国のインドの首脳と相次いで会談したと、自身のSNSで明らかにしました。

このうちイタリアのメローニ首相との会談では、ウクライナの防空能力の強化、そして政治的支援について議論が行われたとした上で「2国間関係に関する対話を継続することが重要だ」としています。

また、イギリスのスナク首相との会談では、イギリスからの軍事支援について協議したとした上で「2国間の関係のさらなる発展について話し合い、互いの立場を確認した」としています。

このあと行ったインドのモディ首相との会談について、ゼレンスキー大統領は、ロシアの軍事侵攻により甚大な被害が出ていることを訴えた上で、インドによる人道的な支援に感謝を伝えたとしています。

さらにウクライナが和平に向け掲げる10の項目について説明したとしたうえで「すべての自由主義の国が明確に必要としているルールに基づく秩序の回復にインドが参加してくれると信じている」としています。

EU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領との会談では、ウクライナの和平に向けて世界的な支持を固めるための具体的な方法などについて議論したとしています。

フランスのマクロン大統領とは定期的に安全保障について意見交換をしているなどとした上で、今回の会談について「有意義な会談で、ウクライナの勝利に向けた動きに自信を与えるものだ」と評価しています。

またドイツのショルツ首相との会談では、ドイツからの軍事支援に感謝を表明するとともに「公平な和平をどのように加速させるかや、G7での共同作業をいかに強化するかについて議論した」としています。

ゼレンスキー大統領は21日、ウクライナ情勢をテーマにしたセッションに参加するほか、岸田総理大臣やアメリカのバイデン大統領や首脳会談を行う予定です。

異例のサミット 警戒を一層強化

開催中のG7広島サミットは最終日の21日、急きょ来日したウクライナのゼレンスキー大統領が出席し、ウクライナ情勢などをテーマにしたセッションが行われる予定で、サミットのメイン会場がある広島市内を中心に交通規制が行われます。

また、政府関係者によりますとゼレンスキー大統領は広島市の原爆資料館を訪問する方向で調整が進められているということです。

警察は参加国の増加などを想定して準備していた「予備部隊」を投入し、ゼレンスキー大統領の周辺警護にあたっていて、訪問先や移動ルートの沿道などでは、所持品検査などを徹底することにしています。

戦闘が続いている国の指導者がサミットに参加するのは極めて異例で、警察は、テロなど万が一の事態を防ぐため警戒を一層強化し警備にあたる方針です。

総料理長「記憶に残るような料理を」

今回のG7広島サミットで首脳らに提供される食事のうち、洋食メニューの考案を担当した、「西武・プリンスホテルズワールドワイド」の下井和彦総料理長は、2か月ほどかけて試食を繰り返しながら食材の選定などを行ったといいます。

下井総料理長は「料理には、広島や瀬戸内のものをはじめ、全国の食材を取り入れた。日本にはいい食材がたくさんあるので、いろんな人に知ってもらいたい」と話していました。

また、世界各国からさまざまな人が訪れることから「食べやすさやボリューム感だけではなく、ハラルやビーガンなどの人も喜んで食べてもらえるようなものを作ることに苦労した」と話していました。

下井総料理長は見た目にもこだわったということで、20日の社交ディナーでは、特別に作った広島の海をイメージした飾り皿を使用したほか、平和への祈りを込めてチョコレートで折り鶴を作って提供しました。

さらに、料理にあわせて、四季折々の映像が皿に映し出される演出も施されたということです。

下井総料理長は「おいしかっただけではなく、匂いや見た目など五感で楽しんで食べてもらいたい。プレッシャーは相当あるが、このような場で料理を作れるのは限られた人しかできないので、しっかりと日本を代表するぐらいの気持ちで作っている。1品でも記憶に残るような料理を作りたい」と話していました。