G7広島サミット 首脳宣言案の全容が明らかに

G7広島サミットで発表する首脳宣言の案の全容が明らかになりました。
法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を強化すると明記し、ウクライナ支援を継続するほか、現実的で実践的なアプローチを通じて「核兵器のない世界」の実現に向けて取り組むと強調しています。

G7広島サミットでは、21日の閉幕にあわせて首脳宣言を発表する予定で、その案の全容が明らかになりました。

まず前文で、G7は世界の課題に対応し、よりよい未来に向けた道筋をつけるため、これまで以上に結束すると強調し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を強化すると明記しています。

そして、▽ウクライナ情勢をめぐって、首脳宣言とは別に声明を発表したことに触れ、ウクライナへの支援を継続、強化するとともに、世界の弱い立場の人たちへの影響を軽減するよう取り組むとしています。

▽また、中国について、東シナ海や南シナ海の状況に深刻な懸念を表明し、力や威圧によるいかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対するとしています。

そして、台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて確認するとともに、問題の平和的な解決を促すとしています。

さらに、ロシアがウクライナへの侵攻をやめるよう、圧力をかけることを中国に求めています。

一方で、グローバルな課題では協力し、建設的で安定的な関係を構築するとしています。

▽北朝鮮については、弾道ミサイルの発射を繰り返していることを強く非難し、完全で検証可能かつ不可逆的な、核などの放棄に関与するとしています。

▽イランについては、核兵器を決して開発してはならず、シリアへの支援をやめなければならないとしています。

▽武力衝突が続くアフリカのスーダンについては、戦闘を強く非難し、敵対行為を速やかに終わらせるよう求めています。

▽さらに、インド太平洋地域をめぐっては「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、ASEAN=東南アジア諸国連合や太平洋島しょ国と連携を図るとしています。

▽核軍縮・不拡散をめぐっては、現実的で実践的なアプローチを通じて「核兵器のない世界」の実現に向けて取り組むと強調しています。

その上で、NPT=核拡散防止条約は、国際的な核不拡散や原子力の平和利用を追求する礎石であり、堅持すると明記しています。

▽世界経済をめぐっては、金融面の動向を注意深く監視し金融の安定とシステムの強じん性を維持するため、適切な対応をとるとしています。

そして、国連が定める持続可能な開発目標=SDGsで主導的な役割を果たすとともに、透明で公正な開発金融を促すとしています。

▽経済安全保障では、中国を念頭に、禁輸などで他国の政策や意思決定に影響を与えようとする、いわゆる「経済的威圧」に連携して対抗するための枠組みを立ち上げるとしています。

また▽食料危機への懸念が高まるなか「グローバル・サウス」と呼ばれる途上国や新興国への支援を念頭に、具体的な措置をとるとしています。

一方、▽デジタル分野では、生成AIに関する議論を行うため「広島AIプロセス」を立ちあげるようG7各国の関係閣僚に指示し、年内に作業部会で議論することを盛り込んでいます。

▽環境分野では、プラスチックごみによるさらなる汚染を2040年までにゼロにするという新たな目標を掲げているほか、クリーンエネルギーへの移行を促進するため、持続可能なサプライチェーンの構築を追求するとしています。

▽保健分野では、新型コロナ後のグローバルヘルスのため、官民合わせて480億ドル以上の資金拠出に取り組むとともに、感染症危機に対応する医薬品が公平に手に入れられるよう貢献していくとしています。

▽ジェンダーをめぐっては、性的マイノリティーの人々の完全かつ有意義な社会参加を確保するとしています。

G7首脳は、21日までの討議を経て宣言を固める方針です。