米高官 “大統領は被爆者から直接 話を聞けたことに感謝”

アメリカ・ホワイトハウスの高官が19日、広島でNHKのインタビューに応じ、バイデン大統領が原爆資料館を訪問し、被爆者から直接、話を聞けたことに感謝していたと明らかにしたうえで、「大統領は、今でも核戦争は決して起こしてはならないと信じている」と強調しました。
一方で、ロシアが核による威嚇を続けている以上、核による抑止力が重要だという考えを示しました。

アメリカのバイデン大統領に同行している、ホワイトハウス・国家安全保障会議のカービー戦略広報調整官は19日午後、G7サミットが開かれている広島で、NHKのインタビューに応じました。

この中でカービー氏は、バイデン大統領が19日、原爆資料館を訪問したことについて、「バイデン大統領夫妻が1945年に投下された原爆によって失われた命に敬意を表すことが重要だった」と述べました。

そのうえで、「バイデン大統領は、原爆慰霊碑に花を手向け、原爆資料館でほかのG7の首脳たちとともに被爆者から直接、話を聞けたことに感謝していた」と明らかにしました。

そして、「バイデン大統領は、今でも核戦争は決して起こしてはならないと信じている」と強調しました。

一方でカービー氏は、「ロシアが核による脅しを続けている以上、各国の指導者たちは今こそ、核抑止について率直で意味のある議論をしなければならない」と述べ、核による抑止力が重要だという考えを示しました。

また、カービー氏は、アメリカと中国の軍どうしが連絡を取り合うために結んでいる「ホットライン」について、去年8月、当時のペロシ下院議長が台湾を訪問したあと、中国側が応答しなくなり、「今もまったく機能していない」と述べ、危機感を示しました。

そのうえで、「軍どうしのホットラインは、安全を提供する装置であり、われわれは開通を望んでいる。緊張が高まっているとき、読み違いの危険性が高まるからだ」と述べ、互いに意図せずして起きた衝突が紛争に発展しないよう、引き続き、中国側に対し、連絡に応じるよう呼びかけました。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領が、G7サミットに参加するため広島を訪れると報じられていることについて、カービー氏は確認できる立場にないとしながらも、「重要なのは、ゼレンスキー氏からG7の首脳たちが直接、戦場で何が起きているかを聞き、国土を継続して守っていくために、何が必要なのかを聞くことだ」と述べました。

そのうえで、ウクライナの反転攻勢に関連してカービー氏は、「ウクライナでの戦争は今、転換点にある。今後、数週間から数か月間が極めて重要だ」と指摘し、「われわれが今、求められているのは、支援の継続であり、ゼレンスキー大統領が成功裏に作戦を進められるよう、必要な兵器や訓練を提供することだ」と強調しました。