G7首脳ら厳島神社訪問 夕食とりながら核軍縮など意見交換

G7広島サミットで各国の首脳らは、ウクライナ情勢などをテーマにしたセッションを終え、宮島にある世界遺産の厳島神社を訪れました。そして、首脳らは、夕食をとりながら、中国を含むインド太平洋情勢や核軍縮・不拡散などをめぐって意見を交わしたものとみられます。

G7広島サミットは、19日午前、議長の岸田総理大臣が裕子夫人とともに、広島市の平和公園で各国の首脳らを出迎え、開幕しました。

首脳らはそろって原爆資料館を視察し、館内で被爆者と面会したほか、原爆慰霊碑に献花しました。

午後からは本格的な討議に臨み、ウクライナ情勢をテーマにしたセッションでは、ロシアに対する追加の制裁として、輸出制限の対象を侵攻を進めるうえで重要なすべての品目に拡大できるよう、行動することを盛り込んだ声明をまとめました。

首脳らは、夕方、会場のホテルを出て午後6時すぎに宮島に到着しました。

そして、世界遺産の厳島神社を訪れ、国の重要文化財で、およそ70年ぶりとなる大規模な保存・修理の工事を終えたばかりの大鳥居を背景に写真撮影を行いました。

このあと首脳らは、島内の旅館に移り、外交・安全保障をテーマにしたセッションに臨みました。

夕食をとりながら、中国を含むインド太平洋情勢や核軍縮・不拡散などについて意見を交わしたものとみられます。

議長の岸田総理大臣は、覇権主義的な行動を強める中国などを念頭に、力による一方的な現状変更を認めない立場を強調し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携を呼びかけたものとみられます。

また、核軍縮・不拡散に向けて、核保有国に戦力の透明化を促すことなどを明記した、核廃絶への日本の行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」などを説明したものとみられます。

「広島AIプロセス」年内に報告まとめることで一致

G7広島サミットでは世界経済やデジタルをテーマに行われた最初の討議で、急速に普及が進むChatGPTなどの「生成AI」について、「広島AIプロセス」として、信頼できるAIの普及に向けて閣僚級で議論し、年内に報告をまとめることで一致しました。

この中で岸田総理大臣は「今回のサミット全体を通じての大きなテーマは分断と対立ではなく、協調の国際社会の実現に向けたG7の結束の確認と役割の強化だ」と述べ、G7各国のさらなる協調を呼びかけました。

そしてデジタル分野の討議では、「生成AI」の利用や規制の在り方などをめぐって議論が行われ、「広島AIプロセス」として、著作権の侵害や偽情報への対応などを閣僚級で議論し、年内に報告をまとめることで一致しました。

また、世界経済の討議では、岸田総理大臣が「新しい資本主義」を掲げ、持続的な経済成長のために賃上げと人への投資の強化、さらに国内投資の拡大を重視し、成長と分配の好循環を推進してきたと説明したということです。

そのうえでG7各国の首脳は、特定の国に依存しないサプライチェーン=供給網の構築に向けて、緊密に連携する重要性について一致しました。

こうした議論の成果は21日、首脳宣言として発表されることになっています。