食料安全保障を強化 新たな数値目標設定へ 農林水産省

ロシアのウクライナ侵攻などをきっかけに世界的に食料不足の懸念が高まる中、農林水産省は輸入に依存する肥料などの調達状況も反映させた新たな数値目標を設け、食料安全保障の強化に向けて取り組むことになりました。

農林水産省は、1999年に施行された「食料・農業・農村基本法」をもとに農業政策を行っていますが、ウクライナ侵攻や気候変動問題などで食料調達をめぐる環境が変化したことから、法改正に向けた議論を行っています。

農林水産省は、19日開かれた有識者などでつくる審議会で法改正に向けた原案を公表しました。

それによりますと、国内で消費された食料がどれだけ国産でまかなわれたかを示す今の「食料自給率」について、輸入に依存する肥料などの調達状況が反映されていないことから、食料安全保障の強化につながる新たな数値目標を設けるとしています。

また、生産にかかるコストが上昇した分を販売価格に適切に反映できるよう新たな仕組みを作るほか、国内で食料の需給がひっ迫した場合に、買い占めの防止や価格の規制などをできるようにするための制度を検討することも盛り込まれています。

審議会の委員からは「生産コストを販売価格に反映する上では、どの費用がどれくらい上がっているのか明確にし、透明性を確保することが重要だ」といった意見が出されました。

農林水産省は今後、国民からの意見募集などを行ったうえで、来年の通常国会に法案を提出したいとしています。