
建設アスベスト訴訟 建材メーカーと一部原告で和解成立
建設現場でアスベストを吸い込み肺の病気になったとして、神奈川県などの元作業員や遺族が建材メーカーに損害賠償を求めている集団訴訟は、被告6社のうち1社が謝罪し、解決金を支払うことで一部の原告との間で和解が成立しました。
原告側の弁護団によりますと、元作業員などが国と建材メーカーを訴えた集団訴訟で、メーカーと和解が成立したのは全国で2例目、首都圏では初めてです。
建設現場でのアスベストによる健康被害を訴えた集団訴訟では、おととし5月に最高裁判所が国と一部の建材メーカーの賠償責任を認める判決を出し、国との間では各地で和解が進められていますが、メーカーとは争いが続いています。
原告側の弁護団によりますと、このうち神奈川県の元作業員などによる集団訴訟は、被告6社のうち神戸市に本社がある「ノザワ」が謝罪し、解決金を支払うことで19日、4人の原告との間で和解が成立しました。
このほかの32人については、今月31日に東京高等裁判所で判決が言い渡される予定です。
メーカーとの和解は全国では2例目で、東京、神奈川、埼玉で起こされた首都圏の訴訟では初めてだということです。
和解した原告の1人で夫を肺がんで亡くした森松けい子さんは、記者会見で「皆さんのおかげでここまでやってくることができました」と喜びを見せました。
神奈川建設アスベスト訴訟弁護団の西村隆雄団長は「いわゆる“ひとり親方”などメーカーの下請け関係にない労働者が原告になっている裁判では初めての和解で、本筋のところで成立できた。大きな一歩だ」と話していました。
「ノザワ」は「個別の案件のためコメントしない」としています。