国交省OB人事問題 航空局長の会食判明 斉藤国交相 調査を依頼

国土交通省の元事務次官による空港施設の運営会社への人事介入問題に関連して、この問題が報道される2日前に、現役の航空局長が問題の元事務次官と会食していたことが、新たに明らかになりました。
これを受けて斉藤国土交通大臣は、国家公務員の再就職などを監視する第三者機関に調査を依頼したことを明らかにしました。

国土交通省の本田勝元事務次官は去年12月、民間の空港施設の運営会社の社長らと面会し、当時この会社の副社長をしていた国土交通省OBを次期社長にするよう求めていました。

これに関連して、久保田雅晴航空局長が、この問題が報道される2日前のことし3月末に、本田元事務次官と会食をしていたことが明らかになりました。

これを受けて斉藤国土交通大臣は、19日朝に臨時の記者会見を開き、航空行政の責任者に当たる局長の対応に問題がなかったか、国家公務員の再就職などを監視する第三者機関の「再就職等監視委員会」に調査を依頼したことを明らかにしました。

国土交通省は問題が明らかになったあと、現役職員を対象に民間企業への人事介入にかかわっていないか、聞き取り調査を行っていました。

久保田局長は「私的な会食だった」などとして報告しておらず、斉藤大臣も会食の事実を18日に把握したとしています。

久保田局長は、会食は1月から予定されていたほか、会食の時点で報道内容を把握しておらず、再就職のあっせんについても話題になっていないと説明しているということです。

斉藤大臣は、「本田氏とのやりとりについて、事実関係の再確認を行う必要があり、第三者性や厳格性を確保すべきだと判断した」と述べました。

久保田雅晴航空局長は、奈良県出身の58歳。

昭和63年に旧運輸省に入省し、航空局の航空事業課長や航空ネットワーク部長などを歴任し、長く航空行政に携わっていました。

その後、公共交通・物流政策審議官などを経て、おととしから航空行政トップの航空局長を務めていました。

国交省OBをめぐる人事問題とは

この問題は、国土交通省の本田勝元事務次官が、去年12月に空港施設を運営している東京 大田区の企業「空港施設」を訪れて、国土交通省のOBで、当時この会社の副社長を務めていた山口勝弘氏を次の役員人事で社長にするよう求めていたことが明らかになったものです。

会社によりますと、本田元事務次官は会社の社長や会長と面会した際、自身を「OBの名代」などと説明したほか、「副社長が就任すれば国交省としてサポートする」とも述べたということです。

また、おととし5月には、当時この会社の取締役だった山口元副社長自身が、「バックにいる人たちがどう思っているか」など、国土交通省の意向と受け止められかねない発言をして、自身を副社長にするよう要求していたことも明らかになっています。

一連の調査の過程では、会社側が設けた第三者による委員会によって、おととし6月の国土交通省の人事異動の情報が、公表前日に山口元副社長にメールで送られていたことがわかっています。

また、これを受けて国土交通省が調査した結果、ことし4月の人事異動の情報が公表前に外部のおよそ170のアドレスに送信されていたことも分かりました。

ただ国土交通省は、これらのメールについて人事のあっせんなどを目的とした情報提供ではないとしていて、現職の職員やOBが関与した組織的な人事のあっせんは確認できなかったとしています。