「国土強じん化」明記されていない事業672億円余 会計検査院

「国土強じん化」を掲げて国が2018年度から3年の計画で行った防災や減災の緊急対策について、会計検査院は、計画を決めた当初の内容に明記されていない事業が合わせて672億円余りに上っているとして、国に対して十分な説明を行うよう求めました。

西日本豪雨や北海道胆振東部地震などが相次いだ2018年、国は「国土強じん化」を掲げて3年間の緊急対策を行うことを閣議決定し、河川氾濫や地震、大規模な停電などに対する160の対策を決めました。

この計画で3兆4000億円余りの国費が支出されましたが、会計検査院が国会の要請を受けて一部の事業を抽出して調査したところ、合わせて672億5000万円余りの事業が、閣議決定の時の内容に明記されていないものだったことが分かりました。

具体的には、社会福祉施設の耐震化事業のための補助金が「耐震改修が不要」とされた施設の建て替えや新築に使われていたケースや、緊急輸送道路の無電柱化に使う交付金が緊急輸送道路ではない道路での景観のための無電柱化に使われていたということです。

会計検査院は国に対し、閣議決定の時に明記されていない事業について、国民に十分な説明を行うよう求めました。

内閣官房国土強靭化推進室は、「2018年の閣議決定の内容に付随、または類似する事業を実施したものだが、会計検査院の所見を踏まえて、今後透明性の確保に努めていきたい」としています。