G7 再生可能エネルギーで議論も 次世代太陽電池の技術に注目

19日に開幕するG7広島サミットでは、脱炭素社会の実現に欠かせない再生可能エネルギーの導入拡大についても議論される見通しです。
こうした中、今、注目されているのが次世代の太陽電池の技術です。

G7広島サミットでは、エネルギーや気候変動がテーマの一つになっていて、再生可能エネルギーの導入拡大をめぐる技術開発をどのように進めるかなども議論されます。

こうした中、今、世界的に開発競争が激しくなっているのが「ペロブスカイト太陽電池」と呼ばれるフィルム型の次世代太陽電池です。

極めて薄いフィルムに「ペロブスカイト」と呼ばれる結晶の構造をした物質を塗ることで発電につながる仕組みで、日本の研究者によって生み出された技術です。

これまでの太陽光パネルに比べて、厚さは100分の1、重さは10分の1で、フィルム状になっているため、折り曲げて設置できるのが特徴です。

日本では太陽光発電に適した土地が少ないことから、大手化学メーカーの「積水化学工業」は10年前からこの技術の開発に乗り出しています。

ペロブスカイトの主な原材料となるヨウ素などは国内で調達が可能で、ロシアのウクライナ侵攻や米中の対立などで原材料のサプライチェーン=供給網の強化が課題となる中、経済安全保障の強化にもつながると期待されています。

会社では今後、フィルムの大型化に取り組み、2年後の2025年の実用化を目指したいとしています。

ペロブスカイト太陽電池グループの森田健晴グループ長は「脱炭素の技術として、企業や公共施設から活用したいという声が多く寄せられていて、会社をあげて開発に取り組んでいる」と話していました。
また、ペロブスカイト太陽電池をビルの壁に設置し、オフィスの電力供給に活用しようという動きも出ています。

NTTデータは、来年4月から東京 港区にあるデータセンターの壁にペロブスカイト太陽電池を設置し、実証実験を行う計画で、電力消費が多いデータセンターの電力に充てることにしています。

会社のファシリティマネジメント事業部の佐藤光宏課長は「脱炭素化は重要な経営課題で、実現に向けた有効な手段だと考えている。新たな分野に挑戦していきたい」と話していました。

このように活用が期待されるペロブスカイト太陽電池ですが、中国でも複数の企業や大学が開発に取り組むなど、世界的に開発競争が激しくなっています。

従来の太陽光パネルでは、中国が世界シェアの大半を握るようになっただけに、日本としてはペロブスカイト太陽電池の開発や活用に道筋をつけ、国際社会にアピールしたい考えです。